友達との会話で、お礼を言われたときに、「どういたしまして」と返す若者はいません。
どちらかというと、無言でうなずいたり、手を左右に振り「いえいえ」とか言ったりとか。
「ん~」とか、「アッ!」とか独り言のように声を出して、会話が終わることもあります。
日本人得意の、アウンの呼吸というか、テレパシーが飛び交っているような状況です。
米軍の司令部に勤務している時に、実は、Swatchは、”You’re welcome”と言われたことはありません。私が、アメリカ軍人にお礼を言ったことがないのではありません。
米軍の司令部で仕事をするためには、米軍人に様々なことをお願いする必要であるので、毎日感謝の連続でした。しかし、“You’re welcome”は言われたことがないのです。
そこには、アメリカ軍人が考える仕事と表現の関係があったのです。
<“You’re welcome”で表現するフォーマルな関係>
“You’re welcome”「どういたしまして」は、
お礼に対して自分の気持ちを表現するフォーマルな表現として認識しましょう。非常に丁寧な表現と考えると良いと思います。
特に、あまり人間関係が密でない場合とか、知らない人に何か手助けをして、お礼を言われた場合、
“You’re welcome!”は、ピッタリな表現です。
ついでに発音のコツを言えば、「ヨ~・ウォーカン」です。
エレベーターに乗り込むときに、お互いに譲りあい、「お先にどうぞ」、「ありがとうございます」、「どういたしまして」
という会話の時には、次のような表現になります。
“After you!”「お先にどうぞ」
“Thank you!”「ありがとうございます」
“You’re welcome”「どういたしまして」
で会話が成立します。できれば、笑顔で対応できれば最高ですね。
前述した、人間関係があまり深くない場合、見知らぬ同士の場合は、ピッタリの表現ですが、仕事を一緒にしたり、協力したりする関係の場合は、「プロフェッショナル」な考えが必要です。
プロフェッショナルな考えとは、仕事関係であるから、目的を一つにして協力する関係であろうという考えです。信頼関係の醸成ともいえると思います。
前提に、協力し合うという関係があり、相手が手伝ってくれたことに対して、他人行儀に“You’re welcome”とは言わないのです。
<Don’t mention it! でアメリカ人の意識していること>
プロの関係でアメリカ人、軍人が意識していることは、「お礼はいいよ」、「お礼なんて、とんでもない!」という反応です。
そんな時には、
“Don’t mention it”がピッタリですね。
“Don’t mention it”は、お礼(it)を言うなという意味ですね。
発音は「ドン・メンショニ」です。
「仕事の手伝いは、やって当たり前だろう、だから、お礼はいいよ」なのです。手伝いしたことに関しての感謝 ”thank you”を言わなくてよい。「持ちつ持たれつの関係だ」と言っているのです。
関係が仕事関係でなくとも、友達として、仲間として、「お礼はいいよ」と感じたときには、使えますね。友情を確認し合う感じです。そう意識すれば、気持ちが伝わります。
“You don’t mention thank you”
「お礼は言わなくて結構だよ」
ということもできます。
さらに人間関係が強調されて、これからもうまくやっていこう、という感じが伝わります。
こういったコミュニケ―ションは、仕事関係では、非常に大切になります。「言葉で言わなければ、心は通じない」アメリカの文化ですから、日々、私はこう考えていると言葉にするのです。
お互いが慣れてきたから、親しい表現に代わるのではなく、日本人自身が、相手との関係をバージョンアップして、あなたが表現を変えていかなければならないのです。
<No problem! 問題になりそうだったから、そういうのです!>
次に“No problem”です。「問題ない!」という表現です。
”Thank you”といわれた時に、相手に対して、様々な思いが湧いてきます。
この手伝いのために、こうした、ああした、いろいろなことをした。だから、うまくいった。苦労したけど、問題にならなくてよかったという気持ちがあります。
火がないところに、煙は立たずといいますが、人の考えにも、何もないところに単語は浮かんできません。人間は、一瞬のうちに、自分がしたことを総括して言葉にすることができるのです。
自分のやった行為に対して一番近い言葉がproblemであって、努力の甲斐あって、それが“No problem”「問題なく終わった」ということにつながります。
そう考えておくと、アメリカ人の言った“No problem”は自分にとっては、重く受け取ることができます。「問題ないよ」と聞き流すのではなく、一所懸命してくれたのだという感謝が生まれれば
素晴らしいです。
<Any time!いつでも大丈夫なことはないということ>
“Any time!”「いつでも言ってくださいね」という返しは、時間に関係ありそうですね。
そうです。仕事を手伝ってくれた相手は、時間的に少しばかり苦労したのかもしれません。
仕事を依頼された時間が、5時過ぎていたとか、ウイークエンドだったとかです。
こんな時間、日、曜日に、お願い事をされたと考えているのかもしれません。または、相手の忙しい時間に丁度あたったのかもしれません。
仕事はそれほど難しいことではないけれど、「もう少し時間を考えろよ」と感じたのかもしれません。
Any timeから、Swatchは、そんな想像をしながら反省をして、頼みごとのタイミングや時間を良く考えるようにしていました。
<米軍人、アメリカ人の言葉から学んでいく文化の違い>
思い出してみれば、沖縄の官舎のFAXは金曜日の夜中の2時3時に受信することも多くありました。そんな状況であれば、朝一で米軍に頼みごとをすることも多々あったと思います。
米軍人から“No Problem“と言われ、そのまま聞き流していたら、仕事上の関係はうまくいっていなかったからもしれません。
日本の常識は、世界の非常識です。そこのところを、米軍人の言葉から、できる限り読み取ろうとしていた努力の結果がこういう考え方につながっています。
さて、日本人の場合は、“No problem”、“Any time”と言った表現を使うことに躊躇しがちです。先ほども書きましたが、アメリカ人との関係は、あなたに主導権があります。関係を高めるのは、あなたが決めるのです。
「問題ない!」、「いつでも言ってね!」は、あなたが切り出していけば良いのです。心の中で、「ちょっと困っているけど、、、」というニュアンスも含めて表現できれば、楽しいですよ。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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