パリオリンピックが終わり、パリパラリンピックが始まりました。
楽しみながら応援したいですね。でも、英語で応援ってむずいですね。
今ではスポーツバーはたくさんありますが、Swatchが青春だったころは六本木でも数件しかありませんでした。
乃木坂近くにあったスポーツバーは、大きなモニター(なんとブラウン管式)が天井から吊り下げられ、モニターに映るスポーツゲームを見てお酒と会話を楽しむといったバーでした。
ゲームを見ながら応援をするのですが、日本人のほとんどが、
“Let’s go!”
ぐらいしか言わない。
3割近くいる外国人は、ゲームのハイライトの場面で、ぼそぼそと英語らしいものをつぶやいている。
何をつぶやいているんだろう?!と耳をそばだてていました。
そうするとガタイの良い黒人が、
What the hell are you doing?!”
とSwatchに怒鳴ってきたのです。
<Let’s go Japan!しか言えない?>
当時のSwatchは英会話道まっしぐらの英会話学習者でした。六本木のバーで外国人の発している英語のフレーズを聞き取り、メモするという怪しい青年だったことを覚えています。
“What the hell are you doing?”
(お前、なにやってんだ?)
とバスケの選手のような外国人が、スポーツ中継の響くホールで大声で文句をつけてきたのです。(と感じた)
Swatch:”I’m checking out the cool phrases to cheer for!”
(かっこいいセリフをメモってるんだ。)
と上目使いで相手を見る。
外国人:“Buy me beer and I’ll tell you! ”
(ビール奢ってくれたら、教えてやるよ)
Swatch:“gotcha!”
(了解!)
恐怖の瞬間から、英語青年にとっては、最高の学習時間に切り替わったのです!
周りの日本人客は、応援するときは、もっぱら“Lets’ go!”しかいいません。日本語では、「すげえ、やったぜ、イケイケ、もうちょいだ」と語彙が豊富なのに英語では、Let’s go!(笑)
私の”hell“外国人に期待がかかります。さしずめ、彼は私の英語のインストラクターです。
約束通り、ビールを奢り、二人でサッカーゲームの世界に入ります。
しばらくボールの奪い合いがあったところで、ひとりの選手がボールを取って相手選手を振り切ります。すかさず私のストラクターは、ビールジョッキをテーブルに置き、こぶしを振り上げます。
<Keep it up! その調子!>
こぶしを振り上げながら、なぜか日本語で「来た~!」と叫びました。
「来たー!」って日本語で応援してどうするんだ?と思い「来た?」と聞き返してみると。
画面を見入りながら、「来た!」を繰り返しています。おそらく5秒ぐらいだったと思いますが、その選手がボールをドリブルしながら全速力で前にすすんでいったと思います。
その後、敵の選手にボールを奪われ、彼の進撃は終わりました。
私のインストラクターは、にっこり笑って
” You got it?”
(わかったか)
と私に聞きます。
”Ki-ta, what is it?”
(「来た」って、どういう意味?)
と聞くと
“Keep it up!”
(その調子!)
だと教えてくれました。
英語青年、思わず“Gotcha!”
“Keep it up”は、「その調子、どんどん行け、頑張れ」だったのですね。こりゃ便利です。
<We’re almost there!もう少しだ!>
私のインストラクターの応援するチームは、攻撃力があり、ゴールに向かって進撃していきます。
長髪の選手は、巧みに敵のデフェンスを交わし、攻撃していきます。
画面が上空からの画像にかわり、ゴール周辺が画面に映し出されます。
周りの外国人も日本人の客も、興奮状態です。
日本人客は、相変わらず日本語で「行け~」か“Let’s go!”で応援しています。
私のインストラクターは、今度は、両手を握り前に突き出しながら、何かをわめき始めました。
「ういろうもぜ!ういろうもぜ!」
と叫んでいます。
Swatchも、真似をして
「ういろうもぜ」と控えめに、声を出します。
敵のデフェンスが長髪の選手に襲い掛かります。
長髪の選手は、圧倒的な俊足とドリブルでゴールをめざしています。
こういったサッカーのシーンは、実際には数秒しか続かないのでしょうが、本当に長く感じます。
選手の一歩ごとに、感動する場面が目に入ってくる感じです。
そういった攻撃シーンが何度もあり、落ち着いたところで、インストラクターに「ういろうもぜ」の意味を聞くと
“We’re almost there!”
「もう少しだ!」
ということが判明しました。(笑)
英語の単語をそのまま発音していくのではなく、音がつながったり、強弱があったり、音が省略されたりといったことでフレーズがとんでもない発音になることを体験しました。
そういった音の変化を頭に入れておけば、聞き取り能力を向上させる技術にもなります。
実践で学ぶということはこういうことかと、私のインストラクターには大感謝です。
<やったね>
しばらく攻撃が続いたところで、なぜか敵の防御ラインがサーっと開けたような感じがした瞬間、長髪の選手の右足からまっすぐにボールがゴールめがけて飛んでいきました。
ゴールです。ホールの客が最高に盛り上がる瞬間です。全員が、ビールをがぶ飲みしたり、大声で叫んだり、拳を振り上げたり、大騒ぎです。
私のインストラクターも、大声で、
「ウエッゴ~!」
と叫んでいます。これも例にもれず、まずは耳から英語で、Swatchも「ウエッゴー」と叫びます。
私の顔を見て、インストラクターは、“buy me beer!”とウインクする。
まあ、レッスン代としても一杯600円のビールが2杯でも高くはないかなどと思いつつ“Gotcha!”
ウエットゴーは、果たして、どんなフレーズなのかと聞くと
“Way to go!”
「やったぜ!」
なるほど、ゴールが決まって「やったぞ!」ということですか。
Swatchも、私のインストラクターに“Way to go!”と声をかけたのでした。
<誉め言葉のバリエーションでペラペラ感>
日本人の会話を良く考えてみると、一つ一つ文章を組み立てていくという論理性よりも、その場で感じることを単発的に発するという感じがします。
英語は論理性の高い言語なので、やはり論理的に組み立てていくと、コミュニケーションがうまく成立します。
今回の記事は、スポーツバーでの応援風景を思い出しながら書きました。状況の変化と表現の関係が伝えられたら嬉しく思います。
状況が変化すれば、表現が変化していく。当たり前のようですが、そういったことが日本の会話には、あまり考えられないところがあります。
誉め言葉のバリエーションを増やすことで、コミュニケーションを的確にできることを考えて学習すると興味が湧いてきます。
その場にふさわしいフレーズをズバッ!と表現できれば、ペラペラ感が上昇すると思います。試してみてください。
執筆家・英語教育・生涯教育実践者
大学から防衛庁・自衛隊に入隊。10年間のサバイバル訓練から人間の生について考え、平和的な生き方を模索し離職を決断する。時を同じくして米国国費留学候補者に選考され、留学を決意。米国陸軍大学機関留学後、平和を構築するのは、戦いを挑むことではなく、平和を希求することから始まると考えなおす。多くの人との交流から、「学習することによって人は成長し、新たなことにチャレンジする機会を与えられること」を実感する。
「人生に失敗はなく、すべてのことには意味があり導かれていく」を信念として、執筆活動を継続している。防衛省関連紙の英会話連載は、1994年1月から掲載を開始し、タモリのトリビアの泉に取り上げられ話題となる。月刊誌には英会話及び米軍情報を掲載し、今年で35年になる。学びによる成長を信念として、生涯学習を実践し、在隊中に放送大学大学院入学し、「防衛省・自衛隊の援護支援態勢についてー米・英・独・仏・韓国陸軍との比較―」で修士号を取得、優秀論文として認められ、それが縁で定年退官後、大規模大学本部キャリアセンターに再就職する。
修士論文で提案した教育の多様化と個人の尊重との考えから、選抜された学生に対してのキャリア教育、アカデミック・アドバイジングを通じて、キャリアセンターに新機軸の支援態勢を作り上げ、国家公務員総合職・地方上級職、公立学校教員合格率を引き上げ高く評価される。特に学生の個性を尊重した親身のアドバイスには、学部からの要求が高く、就職セミナーの講師、英語指導力を活かした公務員志望者TOEIC セミナーなどの講師を務めるなど、大学職員の域にとどまらぬ行動力と企画力で学生支援と教員と職員の協働に新たな方向性をしめした。
生涯教育の実践者として、2020年3月まで東京大学大学院教育研究科大学経営・政策コース博士課程後期に通学し、最年長学生として就学した。博士論文「米軍大学における高等教育制度について」(仮題)を鋭意執筆中である。
ワインをこよなく愛し、コレクターでもある。無農薬・有機栽培・天日干し玄米を中心に、アワ、ヒエ、キビ、黒米、ハト麦、そばを配合した玄米食を中心にした健康管理により、痛風及び高脂質血症を克服し、さらに米軍式のフィットネストレーニング(米陸軍のフィットネストレーナの有資格者)で筋力と体形を維持している。趣味はクラッシック音楽及びバレエ鑑賞。
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