前回は、「じゃんけん」「えんがちょ」「てるてる坊主」という、日本で子供の頃行われていた風習が、アメリカの子供たちも、そんなことをしているのか、というお話でした。
で、そんな風習など考えていると、他にも、アメリカではどうだろう、というのが出てきました。
「鏡餅」「指切りげんまん」、そして、いわゆるエクス・キューズ・ミーの日本風ジェスチャーである「手刀」。
アメリカにも似たようなものはあるのかな?アメリカ人はどう思うのかな?いろいろ面白い見聞が見つかりました!
鏡餅
お正月に飾る、2段に重ねた白い丸いお餅。アメリカ人には、きっと何のことだか理解できないのでは?と思いました。
まず、そもそも鏡もちをお供えする日本特有の風習は、室町時代から始まったらしいです。
鏡もちは、新年の神様である「年神様」をお迎えしたときのお供え物で、飾りの全てに意味があるのだそうですね。2段の丸もちは、太陽と月を表し、「福が重なる」「円満に年を重ねる」という意味なのだと。
また、昔から、鏡は、日光を反射し太陽のように光ることから、三種の神器のひとつであり、太陽の神様に見立てられていました。 鏡は、神様が宿るものとされており、 そのため、お餅を鏡に見立てて「鏡餅」と呼ぶようになったという説も。地方によっては、家中の各部屋に飾るようです。
さて、そんな鏡餅ですが、もちろんアメリカにはありません。そもそも日本のように、しめ飾りや門松等、新年に何かを飾る、という習慣自体がありません。というのも、以前お話ししていた10月から年明けまでのホリデーシーズンの中で、クリスマスがメインで、新年というのは、新年を迎える瞬間は盛り上がりますが、その後は結構普通なんです。一般的に翌日2日にはもう仕事が始まりますし(笑)
なので、お餅も普通のスーパーには売っていないので、日本食のスーパーまで足を運ばないと手に入りません。なかなか手に入りにくく、ここしばらくご無沙汰していましたが、こういう風に調べてみると、何とか手に入れて、飾りたくなってしまいました。
指切り
日本での「指切りげんまん」の風習は、江戸時代の吉原が発祥とされています。指切りげんまんの「げんまん」は「拳万」と書き、げんこつで1万回ぶつ、という意味だそうです。おお!凄い。吉原の遊女たちが、お客さんと結んだお約束。なんだか、いじらしい感じがします。なんたって約束を破った日には、針を1000本飲まなきゃいけませんからね。
さて、そんな「指切りげんまん」アメリカにはあるでしょうか。
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あります!
「pinky swear / ピンキー・スウェア」といって、ピンキー(小指)とスウェア(約束する)を組み合わせた言葉。「指切りげんまんしよう」という意味で
Let’s make a pinky swear!/ レッツ・メイク・ア・ピンキー・スウェア!
と言います。
「pinky promise / ピンキー・プロミス」とも言い、ニューヨークでも普通に使われています☆
日本と同じように、絶対にこの約束は守る、と言う時に使われるようです。
線路を歩いて行く少年たちの姿が危なっかしいイメージだった、1986年製作、アメリカの有名な青春&冒険映画「スタンド・バイ・ミー」
少年2人が小指を差し出し、英語で「指切りげんまん」を意味する「ピンキー・スウェア」というセリフを言い合うシーンがありました。
あの時のクリスは、小指を絡め合うわけではなくて、十字を切って自分の小指にキスをするジェスチャーでしたが。
あのタイトル曲「スタンド・バイ・ミー」は、本当にいい曲で、今でもあの曲を聴くと、心がジーンとして、数々の名シーンが心に浮かびます。12歳の時のような親友は、もう二度とできない。この主人公のゴーディは最後、その言葉で締めていました。確かにそうだなぁ、と思います。
ごめんなさい、話が傍にそれてしまいました。
手刀
この手刀は、日本人だと普通に知っていることだと思うのですが、「すみません」と言う意味だったり、「ごめんなさい」「許してちょ」と言う意味だったり、「失礼します」と言うような、相手を敬った、元はと言えば、礼儀正しく神への感謝の意を表す所作だそうです。
ところが、これを見た外国人がどう思うのか聞いてみると、あろうことか、「空手チョップ」にしか見えないのだそうです。
電車の中で、席がちょっと狭めに空いているようなところに座らせてもらおうと手刀しながら、席を空けてもらって座る光景ってありますよね。
あれ、アメリカ人が見ると、
「空手チョップをしながら座ろうとしてくる日本人!!このアジア人は何を考えているんだ!!?」
ってびっくりするそうです。
この話を聞いたときには、笑うしかありませんでした。そう来るか!って(笑)
日本では、常識と思われることでも、一度外国に出てみると、それをわかってもらえないことも多々ありますよね。
また何か風習や習慣の違い等思いついたらお届けします☆
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。