おはようございます。
木曜日のCozyです。
英語の “or”と聞くと,私たち日本人は
「AかBのどちらか」
って意味だと思いますよね。
でも,実は否定文になると,その感覚がちょっとした誤解の素になることがあるんです。
「え,そうだったの!?」
と驚くような,ネイティブが使う “or”の意外な使い方,
あなたは知っていますか?
―エビとカニを同時に食べる!?―
先日,ラーメン屋さんのメニューを見ていたんです。
いろんなラーメンがあって,セットのサイドメニューも選べるらしく,
そこには,
「とんこつラーメン + 半チャーハン or 餃子 or ライス」
のように書かれていたんです。
これは普通に,
「とんこつラーメン」に,半チャーハン「か」,餃子「か」,ライス,のうちどれか1つが付きますよ,選べますよ。
という意味ですよね。
このように私たちは, “or”を
「◯◯,または◯◯」
のように「どちらか1つ」と覚えています。
ところが,これが否定文になったらちょっとトリッキーなんです。
例えば,アレルギーがあって
「私はエビとカニが食べられないんです」
と伝えたい時,あなたならどう英語で言いますか?
ついつい
“I can’t eat shrimps and crabs.”
と言ってしまっていませんか?
日本語の感覚では
「エビとカニ」だから,
“and”
を使って,
“shrimps and crabs”って言いたくなりますよね。
でも,これを英語ネイティブが聞くと,ちょっと違和感があるのだそう。
それはどんな違和感だと思いますか。
“I can’t eat shrimps and crabs.”
と言ってしまうと,
「私はエビとカニを[同時に]食べることができません」
というニュアンスに聞こえるんですって。
「え,なんでそうなる?」
って思いませんか?
ネイティブはこんな時,多くの場合こう言うのだそう。
“I can’t eat shrimps or crabs.”
「え? “or”なの!?」
と思いますよね。
実はこれ,
「否定文」
だからなんです。
なぜなのでしょう。
―なぜ否定文の “or”は “and”の役割を果たすのか?―
を英訳すると,
“I can’t eat shrimps or crabs.”
私たちにしてみたら,
「エビかカニ,どちらかしか食べられない」
という意味に聞こえませんか?
日本語の「または」の感覚で捉えると,
「え,じゃあ片方は食べられるの?」と,かえって相手に誤解を与えかねない,って思っちゃいますよね。
英語の否定文では,
否定の言葉(“don’t, doesn’t, isn’t, can’t”など)が,
「その後に続く “or”でつながれたすべての語にかかる」
というルールがあるんです。
つまり,
“I can’t eat shrimps or crabs.”
は, “can’t”の否定なので,そのあとの
「“or”でつながれた “shrimps”と“crabs”の両方にかかる」
ということ。
だから
「エビもカニもどちらも食べられない」
となるんですね。
一方で,
“I can’t eat shrimps and crabs.”と言ってしまうと,ネイティブは
「エビとカニを一緒に混ぜたものは食べられない」
とか,
「エビとカニを同時に食べることはできない」
といった,かなり限定的で不自然な解釈をしてしまう可能性があるんだそう。
「えー,そうなの!?」
って感じじゃないですか?
面白いですよね。
―2つの顔を持つ “or” 肯定文と否定文での顔の違い―
「どちらか一方」
という意味が強いのに対し,否定文では
「◯◯と◯◯(両方とも〜ない)」
と,まるで “and” のような働きをするんですね。
これは,英語の言葉の面白さであり,慣れるまでは,ちょっと頭で考えながら口に出さなければならないかもしれませんね。
肯定文:
“You can have a Coke or an orange juice.”
(コーラかオレンジジュースのどちらかをどうぞ。)
否定文:
“I don’t have a car or a motorbike.”
(私は車もバイクも持っていません。)
どうでしょう? “or” の二つの顔が見えてきましたか?
とってもシンプルな“or” と “and”。
簡単な単語なのに,肯定文か否定文かで意味の広がり方が変わってしまう。
日本語の感覚とは違うから,ちょっと戸惑いますよね。
でも,この「なぜ?」という疑問を乗り越えて「なるほど!」と腑に落ちた時,英語の理解はぐっと深まると私は思うのです。
ぜひ,今日から意識して“or” と “and”を使い分けてみてください。
きっと,ネイティブに
「お,わかってるな!」
と思わせる,一歩進んだ表現になること間違いなしですよ!
それでは
See you next week 〜!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。