こんにちは
NYのKayoです。
冬のニューヨークは、相変わらず手厳しいです。緯度は日本で言うと青森県ぐらいですが、この冬の冷たいビル風は遠慮を知りませんし、ロングのダウンコートの下に「今日はヒートテック二枚レイヤーなんですが〜」と主張しても、まったく容赦してくれません。
そんな季節になると、この街の冷たさと同時に、不思議と人の温かさを思い出すニュースが増えてきます。
無料クリスマスのごちそう宅配
先日、ニューヨークのローカルニュースで耳にしたのが、Citymeals on Wheels / シティミールズ・オン・ホイールズ という団体の、ホリデーシーズンの取り組みでした。
クリスマスなどの祝日に、高齢者や体の不自由な一人暮らしの人たちへ、無料で温かい食事を届けるというものです。
ターキーを中心にした、いかにも、アメリカのクリスマス・ディナー、と胸を張って言えそうなメニューを、ちゃんと温かいまま玄関まで運んでくれて、電子レンジで温め直す必要もありません。クリスマスに、できたてのご馳走のプレゼント、なんて素敵なことでしょう。
一緒に届けるまごころ
ホリデーというのは、本来はにぎやかで楽しいもののはずですが、ニューヨークには一人暮らしの高齢者がとても多く、祝日が近づくほど、かえって心細くなってしまう人も少なくないのだそうです。買い物に出るのも一苦労、キッチンに立つのも大仕事となれば、「今日は何も食べないで寝ようかしら」という気分になる日もあるのかもしれません。
Citymeals on Wheels / シティミールズ・オン・ホイールズの素敵なところは、食事だけで終わらない点です。
それは、ドアをノックして、「メリークリスマス」と声をかけてくれる点。その一言が、そのお年寄りにとって、その日誰かと交わす唯一の会話になることもあるそうで、、、ターキーと共に、さりげなく安心感と人の気配も添えて、届けているわけなんですね。
優しさ感じるお年頃に
正直に言えば、若い頃は、こうした話をどこか他人事として聞いていました。「いい活動だな」と思いつつも、自分とは少し距離のある世界の話だったのです。
ところがこの年代になり、階段を上り下りするたびに膝と相談するようになってから、こういうニュースの感じ方が変わってきました。
もしかすると将来、ドアの向こうで配達を待っているのは自分かもしれない、などと考えるようになったのです。
ニューヨークという街
ニューヨークは、冷たい街だと言われがちです。確かに、ぼんやりしていると置いていかれますし、優しさも自己申告制(!)のようなところがあります。でもその一方で、困っている人を支える仕組みが、それはそれで、ちゃんと息づいている街でもあります。
誰かが誰かのために動き、それを多くの人が当たり前のように支える。このCitymeals on Wheels [無料弁当宅配]、クリスマスだけではありません。
これらを支えるのは、多くの企業等からの寄付金やボランティアの人々の働きです。数年前に、知り合いがそのボランティアに応募したい、と言っていました。私も、ぜひやってみたいと思います。その姿をニューヨーカーとして、少し誇らしく感じられそうです。
今年のクリスマスも、どこかのアパートのドアの前では、温かいターキーが手渡されているでしょう。その光景を想像すると、ニューヨークの冬の寒さも、そして私たちの心も、ほんの少しだけどマイルドになる気がします。
先日まで最高気温が零下5度とかだったのに、今日はいきなり雨で最高気温が摂氏15度。あれだけ積もった雪もすっかり溶けて流れてしまいました。
あまりにもローラーコースター(日本で言うジェットコースター)のような気候なので、風邪をひかないように気をつけなくちゃ。
いよいよ年の瀬ですね、どうぞ年末のお疲れが出ませんように、素晴らしい2026年をお迎えくださいませ。
それではまた来年♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。





