こんな経験ありませんか?
よく通る道で,
「あれ,ここ更地になってる…
でも,ここには何が建っていたんだっけ?」
ってこと。
これ,心理学的にはまだまだこれからの研究分野らしいのですが
一応の名前があるらしく,
なんと
「突然なくなったものが思い出せない現象」
って言うんですって。
まんまじゃん!(笑)
だいたい更地になると,マンションかアパートが建つのですが,
古いマンション跡だった近所の更地には,なんと大きな一軒家が建ちました。
そしてそこには立派な門と表札。
日本では一戸建ての場合,「表札」はごく普通のことですが,
アメリカでは,ほとんどありません。
それはなぜなのでしょうか。
―表札がなくても住所でわかる!?―
一戸建ての家の場合,あるのは「番地」のみ。
これは “House Number”と呼ばれ,玄関近くの壁に大きく表示されています。
また,歩道と道路側の境目に番地がペイントされていることもあります。
“The Browns”(ブラウン家)のように,ファミリーネームをプレートなどで出している家を見かけることもありますが,基本的には名前は出しません。
「それじゃあ,郵便とかちゃんと届くの?」
って思いますよね。
届きます。
アメリカの都市の多くは基本的に碁盤の目になっています。
すべての道には○○Streetや,○○Avenueなどのように名前がついており,そ
の「○○通りの何番」でわかるようになっているんですね。
表札を出さない主な目的は,
「個人情報を出さないため」が主な理由。
日本では成人式を2回くらい経験したような年代の家の表札には,
その家の住所,家族全員の名前まで書いてあることもあります。
近年,「個人情報保護の関係」という言葉を耳にする日本ですが,
そう考えると,表札もそのうちなくなっていくのかもしれませんね。
また,私の個人的感覚なのですが,表札を出さない理由として「景観」もあるのかもしれません。
というのも,カリフォルニア州にある
Carmel-by-the-Sea(カーメル・バイ・ザ・シー)
という街を聞いたことがあるでしょうか。
この街は,「カリフォルニアで最も夕日がきれいな街」と言われる人口約4000人の小さな街。
芸術家や詩人なども多く住む街で,その街並みはまるで童話の世界。
1986年から1988年まで,映画俳優のクリント・イーストウッドが市長を務めていたのですが,その際,信号機,派手な看板やネオンサインを極力少なくし,道路標識等も木製にするなど徹底的に「美しい街づくり」にこだわったそう。
そして,もっともすごいのが
「家の番地も美しくない」という理由から,番地の表示も廃止。
郵便も届かないので住民は郵便局に設置された私書箱を持っており,
そこに郵便を自分で取りに行くのだそうです。
景観のために,不自由さまで選んでしまう街もあるアメリカ。
なので,もしかすると表札を出さない理由でもあるんじゃないかなぁ,とも思うのです。
まあ,ほとんどの意味は防犯でしょうけど・・・
―マンション,アパートの違とは?―
先日,こんなリクエストがありました。
「コーポとハイツの違いを書いて欲しい」と。
たしかにありますよね,○○ハイツとかコーポ○○とか書いてある集合住宅。
いずれもマンションではなく,「アパート」を思い浮かべたりしませんでしたか?
それではまず,「マンション」と「アパート」の違いってなんでしょうか。
大きなコンクリートの建物がマンションで,木造2階建てがアパート?
そんなイメージを持っている人もいると思います。
でもこの2つの定義は・・・ないのです。
これは多くの方がご存知かもしれませんが,
私たちが言うマンション “mansion”という言葉は,
英語では「大豪邸」という意味になります。
一戸建ての超豪邸です。
おそらくレディ・ガガやジョン・トラボルタ,ブラッド・ピットが住んでいるような家です。
ジョン・トラボルタの家ってプライベートジェットで玄関まで行けるんですって。
私も大豪邸に住んでいました,ええ,先日の夢の中で(笑)
と話はそれましたが,マンションは一般人が住むような場所ではありません。
マンションに相当する建物のことを英語で
“apartment”(アパートメント)
または,
“condominium = condo” (コンドミニアム=コンドウ)
といいます。
「え,じゃあアパートとコンドミニアムは同じってこと?」と思いませんでした?
同じというか,建物の違いではなくてシステムの違いとでもいうのでしょうか。
2つの違い,それは,
アパートメントは,「建物自体をオーナー(大家さん)が所有」しており,
それを1部屋単位で貸す,というもの。
日本でいう賃貸マンションですね。
それに対してコンドミニアムは,部屋ごとにオーナーが違います。
そのオーナーが部屋を貸し出すということもありますので,
コンドミニアムが日本でいう分譲マンションや、分譲賃貸マンションに一番近い形になるんですね。
―コーポとハイツの違いは?―
では、リクエスト頂いていた、コーポとハイツの違いについて、
コーポとは,英語の
“co-operative house”
“corporate house”
という説がありますが,どちらから来たのかは定かではありません。
しかし,いずれも「共同住宅」という意味に捉えることができます。
できますが,それは共同で購入したアパートであったり,社用で会社が購入した住宅であったり・・・もあるのですが,共同住宅という大きな括りでは,どちらも同じと考えて良いかもしれません。
日本ではこのいずれかから略した形で「コーポ」と付けられたそうです。
また,ハイツは英語の
“heights”(高台,丘)から来ているそう。
アメリカ人の友人によると,
「 “heights”は, なんとなくお金持ちが住むイメージ」
なんだそう。
その理由も,
「金持ちは高いところに住むから」。
たしかに,うちの近所の高級住宅街も高いところにあったなぁ。
ということは,集合住宅ではなく一戸建て。
マンションもハイツもお金持ちの一戸建てって感じでしょうかね。
しかし日本では,コーポもハイツも集合住宅を指し,違いはありません。
その物件を所有するオーナーが「マンション」「コーポ」「ハイツ」と自分で好きなものをつけているのです。
どうしても日本では,「マンション」>「コーポ」「ハイツ」のようなイメージを持ってしまいますが,本当は大きな違いなどないんですね。
「他にも『メゾン』とかあるじゃん!?」
と思った方,それはフランス語です。
フランス語ですし,やっぱり名称だけで違いはありません。
メゾンで古いアパートを思い浮かべた方,
大学生が未亡人の管理人に恋しちゃう漫画を見てましたね(笑)
「えっとぉ,じゃあ,『ハイム』!」
それはドイツ語。
―あの更地には何が・・・―
この記事を書きながら,久しぶりに以前住んでいたアメリカの家の近くをGoogleストリートビューで散歩してみました。
そして,うちの近所には大きな更地が!
「あれ?ここ以前何があったんだっけ?」
思い出せません。
昔の写真を見て,びっくり!
更地のままでした。
「突然なくなったものが思い出せない現象」
どころではありません。
「以前もなかったのに,それさえも思い出せない現象」です。
だれか,この現象について研究してください。
それでは,またお会いしましょう。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。