私たちって,何かと「省略」が好きじゃないですか?
コスパ(コストパフォーマンス)
スマホ(スマートフォン)
パンフ(パンフレット)
酎ハイ(焼酎ハイボール)
とりま(とりあえず,まぁ)
り(了解)
ミュージシャンのグループ名も略す。
リトグリ,髭ダン,ミセス…(笑)
ホットケーキミックスに至っては,「ホケミ」と略すのだそう。
ところで,別れる時に使う挨拶
「さようなら」
も,実は略された言葉だって知ってました?
―さようならは別れの挨拶ではない!?―
オリジナルのこの歌を知っているアナタは,きっと私と同世代(笑)
そうなんです!
「さようなら」って,別れる際に使う挨拶だけど,
別れを表す意味ではないんですって。
というのも,「さようなら」は漢字で書くと
「左様なら,」。
「左様ならば,これにて失礼」
という接続詞なのだそう。
つまり,
「そうであれば(それならば),これで失礼します。」
のように,
「これで失礼します」という言葉が続いてこそ,別れを表す表現になるということなんです。
それを省略して,
「左様ならば」→「さようなら」
になったそうなんです。
たしかに,別れる際に
「それでは…」
と頭を下げて去っていくこともありますよね。
そんな感じかな。
「さようなら」というのは,「それでは(左様なら),失礼します。」を省略した形だったのですね。
おもしろ〜い!
―サンドイッチはお好き?―
「ツナサンド」
「ハムサンド」
「BLTサンド」
という美味しそうなサンドイッチの写真がありました。
私,サンドイッチ大好きなんですよ。
アメリカ時代,お母さんからランチによく持たされていたのが,ターキーのハムとチーズをWhole grain(全粒粉)のパンでサンドしたサンドイッチ。
この「ターキー&チーズサンド」という言い方も本来は,「ターキー&チーズサンドイッチ」を省略した形ですよね。
サンドイッチという名前の由来は諸説あるようですが,一説として
18世紀,イギリスの第4代サンドイッチ伯爵(Earl of Sandwich)であったジョン・モンタギューは,ギャンブル好きで,食事の際もゲームをしながら食べられるようにと,パンに肉を挟んだものを片手で食べていた,という説と,
仕事が忙しすぎて食事を摂る時間もなかったサンドイッチ伯爵が,パンで肉を挟んだサンドイッチを食べていた,という説があるそう。
いずれにせよ,サンドイッチ伯爵(Earl of Sandwich)という名前が由来ということのようです。
(“sandwich”なのだから,「サンドウィッチ」が正しいと思うのでは?)
という声が聞こえてきそうですが,まぁ,今回,そこは置いておいて…
サンドイッチ伯爵から来ているので,やっぱり
「◯◯サンド」
のように名前の前半のみを省略して言うのって,考えてみたら変だと思いませんか?
だって,例えばこれをサンドイッチ伯爵ではなくて,日本っぽく「吉田伯爵」だとします。
仮に,「吉田伯爵」が最初にパンに肉や具材を挟んだものを食べていた,
ということが由来だとしたら
ツナ・サンドイッチではなく,ツナ・吉田になりますよね。
それを省略すると,
「ツナ吉」
ということですよね(笑)
私,なんだかどうでもいい検証をしていると思っているでしょ?
違うんですよ。
これ,実は次に続くんです^^;
―サンドは挟むじゃない!―
「サンドイッチ伯爵」を略した名前でしたね。
でも,もう一つ,日本独特の使い方があるんです。
もしかしたら,お気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は私,前半に
「ターキーのハムとチーズをWhole grain(全粒粉)のパンでサンドしたサンドイッチ。」
と説明しています。
この
「パンでサンドした」
って,
「パンで挟んだ」
という意味で使っていますが,
“sand”には「挟む」という意味はないんです。
だって,「◯◯サンド」の「サンド」は「サンドイッチ伯爵」の後半を省略した呼び方。
それが日本では「サンドイッチ」を表すようになり,
サンドイッチはパンに食材を「挟んだ食べ物」,ということから
「サンド=挟む」
と使われるようになったのだと思うのです。
テレビなんかでも,
「お肉と野菜をサンドした…」という説明を聞くことがあるように,
もう日本では
「サンド=サンドイッチ」
「サンド=挟む」
という使い方が浸透しています。
でも,英語では
“sand”は,名詞で「砂」が主な意味。
動詞では
「砂をまく」
「砂でおおう」
「紙やすりで磨く」
のような意味。
「挟む」という意味はありません。
サンドイッチのように「チーズを挟む」というのは
Put the cheese between the bread and make a sandwich.
のような言い方になるかと思います。
私も自然に「サンドする」って使っちゃっていますが,
英語で表現するときは注意が必要ですね!
ほんと,このように
「英語のように見せかけて,実は日本語」
というのがたくさんあります。
日本語として使う時,英語で使う時,それぞれ使い分けが必要ですね。
ということで,これからもた〜くさん知識を増やしていきましょう!
“The concert was super crowded, so we were all sandwiched together.”
(そのコンサートは超満員で,みんなギュウギュウ詰めでした。)
のように使うこともできますよ。
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。