つい最近,こんな質問がありました。
「英語で[ありがとう]って言う時, “Thank you.”ばかりつかいがち。
ビジネスなどでは, “Thank you.”だけではあまり使わない方がいいと言っている人もいるし,他の言い方も身に付けて置いたほうがいいと思うのですが。」
確かに,いろいろな表現を知っておいて損はありませんよね。
でも,
使い方がわからなかったり,
発音がわからなかったり,
そもそも覚えられなかったり…
ってありませんか?
せっかく「ありがとう」を別の表現で
“I am very grateful.”
と学習したので使おうとしたけど思い出せない…
そんな時,こう言ってみてはいかがでしょう?
― “Thank you.”―
私は,基本的に “Thank you.”だけでも十分だと思っております。
もちろん,他の表現も知っておいた方がいいと思います。
でもそれは
「英語に慣れているか,他の表現も覚えて使える人であれば」,ということ。
いろいろな表現,いろいろな場面で使い分けられるのは素晴らしいことです。
だけど,
「そこまでのレベルにはまだ達していない」
「ちょっと自信がないなぁ」
という人にとっては,ちょっとハードルが高い場合もあると思うのです。
よく英語の解説ブログや動画などで,
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「 “Thank you.”は,ビジネスの場では向かない表現です。」
「 “Thank you.”は,カジュアルなので目上の人に使ってはいけません。」
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と説明されているのを見かけることがありますが,
私は,
「そうかなぁ。」
と疑問に思うことも多いんです。
だって,私,仕事でガンガン使っているんですもの(汗)
現在,私は多くの英語ネイティブや,英語を第二言語とする仲間たちと一緒に仕事をしています。
英語の会議では,年齢や上司,部下に関わらずファーストネームで呼ぶことがほとんど。
よほど変なスラングであったり,失礼な表現を使ったりしない限り,
「相手は年上だから」
「初めて会ったから」
という理由で, “Thank you.”と言ってはいけないことはないと思いますし,
それで「不快」に思う人にもまだ会ったことがありません。
私の職場では,毎日のようにオンラインでの会議が行われているのですが,
会議の中でも,みんなよく
“Thank you!”
という言葉を使っています。
みなさん年代も様々。
20代,30代もいれば60代,70代の人もいます。
初めて会議に参加するという「他社の人たち」もいることだってあります。
それでもみなさん,
“Thank you.”
をよく使っています。
なので,やっぱり “Thank you.”で問題ないと思うのです。
―言い方は気持ち良く!―
でも “Thank you.”じゃ,何となく物足りないという方もいらっしゃると思います。
そのように,さらに気持ちを込めたい時には,
“Thank you so much.”
とも,よく打ち合わせの際に聞きます。
これも馴染みのある簡単な表現ですよね。
このように,
まずは難しい表現を覚えるよりも,
知っている “Thank you.”の,
「ニュアンスやコミュニケーションの取り方」
を身に付けた方がいいと思うのです。
それはどういうことか。
日本語でもそうですが,
「笑顔」
「気持ちよく」
「はっきり明るく」
“Thank you.”と言うこと。
「ありがとう。」
という言い方だって,ぶっきらぼうに言われたらいい気持ちはしません。
元気も抑揚もなく無表情で「ありがとう。」と言われても,
「絶対に[ありがとう]って思ってないな。」
「テキトーに言われてるのかな?」
という気持ちにもなってしまいます。
だから,英語でもやっぱり
「言い方って大事」
なんですね。
ちなみに,通常は “Thank you.”と語尾を下げていいますが,
“you”を強調して
“Thank YOU.”と言うと,
「こちらこそ,ありがとう。」
というニュアンスになりますよ。
A: Thank you, Cozy!(コージー,ありがとう。)
B: Thank YOU, Tom.(トム,こちらこそだよ。)
という感じです。
言い方次第でこのようなニュアンスを出すことができるんですね。
―でもやっぱり他の言い方も…―
とは言え,
“Thank you.”や, “Thank you so much.”以外も使えるようになりたい,と思う方もいらっしゃいますよね。
では, “Thank you”の後に “for” を付けてみるのはどうでしょう?
「具体的に」何が「ありがとう」なのかを表現することができますよ。
“Thank you for your reply.”
(ご返信ありがとうございます。)
“Thank you for your message.”
(メッセージをありがとう。)
“Thank you for your time.”
(時間を割いてくれてありがとうございます。)
“Thank you for coming today.”
(今日は来てくれてありがとう。)
“Thank you for inviting me.”
(お招きいただきありがとう。)
“Thank you for listening. ”
(お聞きいただきありがとうございました。)
よく,
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“Thank you.”=「ありがとう。」
“Thank you very much.”=「ありがとうございます。」
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と説明されている場合があります。
“Thank you very much.”が丁寧なのは確かです。
でも,私はそこまで厳密に使い分ける必要はない,思っております。
“Thank you.”でも,「ありがとうございます。」「ありがとうございました。」と訳しても問題ないと思います。
最後に,他の表現もちょっとだけご紹介。
“Thanks.”
これはよく聞きますよね。
ちょっとカジュアルな感じで「ありがとう。」
さらに,
“Thanks a lot.”
(ホントありがとう。)
“Many thanks.”
(色々とありがとう。)
さらに,丁寧なイメージの
“I appreciate it.”
(私は感謝しています。)
“I’m grateful for your support.”
(あなたのサポートに感謝しています。)
まだまだたくさんありますが,それはまた別の機会で。
“Thank you.”や “Thank YOU.” を
心を込めて言うことも意識してみるのもいいかもしれませんね。
それではみなさん,
“Thank you for reading.”
(お読みいただき,ありがとうございます。)
See you next week!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。