こんにちは
NYのKayoです。
2026年の冬は、氷点下の日々が続き、本当に試練のような寒さでした。
私の暮らすニューヨークのマンハッタンでは、1月15日と2月23日、よりによって私の出演日の日曜日にブリザード警報。緊急車両以外はなるべく外へ出ないように、と言うぐらい、まるで「今日はすっごい大雪で大変よ〜!」と天にいじめられているよう。
どんどん振り積もる雪、全然溶けようとしない雪の山を見ているうちに、私自身も体調をすっかり崩してしまい、この2か月は演奏に行けない日もあって、ひたすら春を待つ毎日。
けれど昨日、やっと気温が緩み始めるのと一緒に、不思議に体も回復してきました。
体調が戻るだけで、世界が少し明るく見えるものですね。本当に、しみじみうれしい…
寒い夜ほどにぎわうお店
3月1日の夜も気温は氷点下5度。それでもお店はしっかり満席気味。
寒い日に鍋を囲みたくなる日本人の気持ちと同じで、ニューヨーカーは熱々のピザを求めて集まるのかもしれません、これほんと。
私が演奏しているアルトロでは、ドアを開けた瞬間にピアノの音に気づき、身体でスイングのリズムに乗りながら入ってくる人もいれば、真っ正面で演奏している私にスマイルで会釈してくれる人、そしてもちろん、頭の中が完全にピザでいっぱいで音楽どころではない人もいます(笑)。
そんな人間模様を正面から眺めながら演奏できるのが、ここで弾く楽しさなんです。
音楽が作るひとつの世界
最初の曲は、食事の邪魔にならないよう静かなバラードから。昨夜はオハコの「Skylark / スカイラーク」。
気づいた人がふっと顔を上げて、やわらかな笑顔を向けてくれる…あの瞬間が好きです。
2曲目は「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」。
するとポルトガル系らしい女性のお客さまたちが体でリズムをとり始め、空気が一気に南国風に。
メキシコ系スタッフからはラテンの「La Cucaracha / ラ・クカラーチャ」や「Bésame Mucho / べサメ・ムーチョ」のリクエストが飛び、ウェイターさんたちは今にも踊り出しそう。
ここニューヨークは、本当に世界が混ざり合う街。音楽で、店の中の世界がひとつになる、そんな感じです。
ブレイクタイムは人生相談
休憩に入ると、常連のイタリア系年配女性お二人に呼び止められました。
豪快にイタリア料理を召し上がる、よく似たお二人。
「元気だった?」
「膝はどう?」
と質問攻めです。
MRIやフィジカル・セラピーの話をしていると、
「あなた日本人でしょ?サロンパッチがあるわね」
と一言。
ええと…そうだ、きっとサロンパスのこと。
痛みは取れるけど治療じゃないみたい、と言うと
「でも助かるのよ!」
と満場一致の高評価。
日本のものを褒められると、なぜか私まで嬉しくなってしまいます。
音楽が結ぶ夜の余韻
夜が更け始め、二人並んで私をじっと見つめるカップルがいました。
イタリアンでお腹いっぱいになった後、もう完全にコンサート・モード。
そこで私も大好きな「Like Someone in Love (恋に落ちた人みたい)」を。
彼女が彼に寄り添い、頬を寄せ、小さなキス。音楽が二人の空気をそっと包んでいるようでした。
帰り際、彼女がピアノまで来て
「素敵な夜をありがとう〜」
と一言。
この言葉に、私はいつも支えられてきました。
4時間に渡る演奏を終え、静かな帰り道。迎えの車もスムーズで、心までほかほか。
私を支えてくださるすべての皆さまに、深く感謝しながら、、、今日は久しぶりの、とってもいい一日でした。
それではまた次回♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。




