久しぶりに緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていなかった今年のゴールデンウィーク。
あなたはどう過ごしましたか。
旅行へ行ったり,帰省したり,はたまた行楽地へでかけたりと楽しく時間を過ごされた方も多いと思います。
休日という時間は不思議なもので,楽しい時間を過ごしていても,家でぼーっとしていても気づくと時間はあっという間に過ぎてしまいます。
そして,焦ったように
「今,何時?」と時計を見ることもしばしば。
そんな時に使う英語は,
“What time is it now?” (今,何時ですか?)
というのが日本では定番のように思われています。
あなたもそう思いませんでした?
でも,これって使い方に注意ってご存知でしたか?
ー“now”は不要?―
実は,普段の生活で今の時間を知りたい時は,
“What time is it?” だけでいいのです。
その違いは, “now” がついているか,いないか。
“What time is it?” の日本語訳は,
「今,何時ですか。」なのです。
「え, “now”がついてないじゃん!」
「英語に “now”がないのに,『今』はどっから来るのよ?」
とお叱りを受けてしまいそうですが,いつも言っていることですが
「日本語をそのまま英語にはできない」し,
「英語をそのまま日本語にもできない」。
ということを頭に入れた上で聞いてくださいね。
(あ,読んでくださいね,か!ww)
日本語で「何時ですか?」とだけ聞いてしまうと,
「今の時間を聞いているのか」,それとも「明日の予定時間」のことを聞いているのか,
または「お店の予約時間」を聞いているのか,判断できません。
なので,今の時刻を知りたい時は,「今」を付ける必要があります。
その日本語を英語に「直訳」したのが
“What time is it now?” なのです。
しかし,英語では
“What time is it?” という表現自体が基本的に「『今』何時ですか?」という意味になるのです。
だから,わざわざ “now”を付けてしまうと
「ものすごく『今』の時間にこだわっている」感が強くなるのです。
例えば,
A: I need to finish this by the regular meeting in the afternoon.
(午後の定例会議までにこれを終わらせなくちゃ。)
B: Oh, you don’t know that the meeting time has been changed to 11 a.m.?
(え,会議の時間が午前11時に変更されたのを知らないの?)
A: What? What time is it now?
(なんだって?いったい今何時?)
という感じです。
この状況で会議の時間を前倒しにされたら,ちょっと困ります。
そりゃ,その仕事を会議時間までに終らせるために「今」の時間を知りなくもなります。
もちろん,“What time is it now?”は,文法的にも正しいですし,意味も通じます。
でも,このようにちょっと緊迫した感じで
「一体今何時なの?」
のようなニュアンスがあるので,普通に時間を訊きたい場合は。
“What time is it?”
で大丈夫です。
―他の訊き方も知っておこうー
アメリカに住んでいた頃,よく知らない人から時間を尋ねられることがありました。
(きっと人が良さそうに見えたのでしょう,ワタクシwww)
その多くはお年寄りだったのですが,皆さんがよく使われていた表現に,
“Do you have the time?”
があります。
これも,「今,何時ですか?」という意味となり,目上の人や知らない人に時間を尋ねるときに使います。
「え?Do you have the time? って,時間ありますか?」って意味じゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
相手に,「ちょっとよろしいでしょうか。」「今,お時間ありますか?」として使われる表現は,
“Do you have time?”
です。
この2つの違いは,”time”の前に定冠詞である “the”があるかないか。
私たちにとっては,定冠詞 “the”のない “Do you have time?” は,
「時間を持っていますか=時間ありますか?」となるので,理解しやすいかと思います。
でも,「何時ですか。」と時間を聞く場合には, “the time”とする必要があるのです。
その理由は,
“the”というのは,「特定のものを指す」というのが大原則。
ちょっと “movie”(映画)という名詞で考えてみましょう。
“a movie” は,「1本の映画」という意味。
どの映画のことも特定しておらず,ただ,どれでもいいので「1本の映画」という意味です。
“I feel like watching a movie today.”
(〈何でもいいので1本〉今日は映画を見たい気分だ。)
しかし, “the movie” になると,「その映画」と,ある特定の映画のことになります。
(誰かと映画の話をしていて)
“I feel like watching the movie today.”
(今日は,「その」映画を見たい気分だ。)
のようになります。
そう考えると, “Do you have the time?” は,
「あなたは,特定の時間をお持ちですか?」となり,
「特定の決まった時間=今の時間」となるのです。
また,アメリカでは,
“What time do you have?”
というフレーズもよく耳にします。
「何時をあなたは持っていますか。」という直訳から,
「(今)何時ですか。」
という意味になるんですね。
でも,アメリカ以外ではあまり通じないかもしれません(^_^;)
これまで, “What time is it now?”が定番表現だと思っていた方,
今日からは “now”を外して使ってみましょう。
その方がきっと,「ナウい」ですよ(爆)
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。