道を歩いていたり,何かをしたりしている時,
頭に突然,何かしらの言葉や過去の出来事が思い浮かぶことってありませんか?
その状況とは全然関係のない言葉や過去の出来事。
私の場合,なぜか急に
「ビギン・ザ・ビギン」
という言葉が出てきたんですよ。
聞いたことはありますが,実際に
「それは何か?」と訊かれると答えられない
「ビギン・ザ・ビギン」。
そう言えば, “begin”って「始める」っていう意味ですよね。
でも「始める」って言えば “start”もある。
これらの違いってあるのでしょうか。
―ビギン・ザ・ビギンの「ザ・ビギン」って実は…―
「ビギン・ザ・ビギン」って,
「[始める]を始めよう」ってこと?
でも “begin” って動詞だし, “The Begin”って言わないよなぁ。
と思って調べてみたんです。
そしたらなんと!
“Begin the Beguine”
と全くスペルが違うではないですか!
実は “beguine”とは,西インド諸島が起源のリズムで書かれた音楽やダンスのことなんですって。
え,もしかしてご存知でした?
ワタシは全然知りませんでした。
だから, “Begin the Beguine”は,
「ビギンダンスを始めよう」
ってことなんですね。
さて,「始める」と言えば “begin”と “start”がありますよね。
今回は,この2つの違いを見ていきたいと思います!
― “begin” ―
“begin”と “start”は基本的に「始める」を表し,意味は2つともほぼ同じ。
でも,シチュエーションで使い分けることができるのです。
The baseball game will start at 7 in the morning.
The baseball game will begin at 7 in the morning.
この2つは,「その野球の試合は午前7時に始まる予定です。」という意味で,
どちらも問題ありません。
では何が違うのか。
大きく考えると
「カジュアルかフォーマルか」ということ。
ニュアンスを自分で掴むためにも,まず想像してみましょう。
「会議を始めましょう。」
と言う場合,
“Let’s begin the meeting!”
“Let’s start the meeting!”
とどちらも言うことができます。
それではクエスチョンです!
この2つの英文,どちらかが少しカジュアルで,どちらかが少しフォーマルな印象なのです。さあ,考えてみましょう!
Are you ready?
5
4
3
2
1
それでは正解の発表です。
正解は,
“begin”がフォーマルで, “start” がカジュアルという感じです。
確かに私たち非英語ネイティブにとっても“start”のほうが “begin”よりも親しみがある気がします。(よね?私だけ…じゃないですよね?)
このように,口語的かそれともフォーマル的かの違いはあれど,基本的には “begin”と “start”は入れ替えて使うことができます。
ただ, “start”しか使うことができない場合があるんです。
― “start”しか使えない場合―
私たちの生活の中には,さまざまな「ボタン」がありますよね。
よく,
“Press the button to start.”
(開始するにはボタンを押してください。)
と書いてあるのを見たことはありませんか。
画像にあるような車のエンジンのボタンにも “START” と書いてありますよね。
また,オーブンレンジのボタンにも「あたためスタート」と書いてあるものも多いですよね。
「ENGINE BEGIN」「あたためビギン」とは書いてありません(笑)
このように,機械などを始動するには “start”を使い, “begin”は使わないんです。
というのも, “start”には,
「動いていなかった状態から,動く状態へ」のように,スタートすることによって動いて行きますよ,つまり「静から動」になりますよ,というニュアンスが含まれるのです。
逆に “begin”は,同じように「これから動く始まり」ではあるのですが,その「始まる」の一始点つまり,「始まる」という「時間的な一部分のみ」に主に焦点が当てられているイメージなのです。
対義語を考えるとわかりやすいかもしれませんね。
“start”の反対は “stop”。
止まっていたものが“start”で動き始めて “stop”で一旦止まる(動きを一旦終える)。
それはまたボタンを押すことによって “start”し,また “stop”で一旦止まる(動きを一旦終える)。
“begin”の反対は “end”。
“begin”という始点,つまり時間的一点を指す。
そして,途中はともかく “end”は「終わる」という時間的一点(終点)に焦点を当てている。
終わったら,一旦終わるではなく,もうそこで終わりなのです。
“The end.”っていうと,「終わり!」って感じがしませんか?
でも, “Stop” というと「終わり」というよりも「今は止まっている状態」って感じでしょうか。
なので機械などには「スタートすると動き続けますよ」というニュアンスで, “begin”ではなく “start”が使われているのですね。
そして “start”を使うもう一つは,
「会社を設立する」など新しくビジネスを始める場合です。
“Steve Jobs started his company, Apple Computer Company, in 1976.”
(スティーブ・ジョブズは 1976 年に自分の会社 Apple Computer Companyを設立した。)
これはもう “begin”は使わずに “start”なんですよね。
今まで存在していなかった会社が動き始めた,「静→動」という感じだからなのかもしれませんね。
― “Begin”と言えば―
今回ご紹介した “begin” と “start”。
どちらも「始める」という意味で知っているのに,あらためて「どう違うの?」って言われると,「え…っとー…」って考えてしまう人も多かったはず。
知らなかった人は,是非今度から
「こう違うんだよぉ。」
と,周りの人たちに,あたかも以前から知っていたかのように教えてあげてくださいませ。
人に話すうちに,その知識を自分のものにするというのも習得方法の一つなんですって。
でも,なんで「ビギン・ザ・ビギン」って頭に降ってきたのだろう…。
私,その歌知らないのに。
わたし, “BEGIN”の方が好きなのに。
ほら,沖縄のあのバンドです。
みなさんの好きなアーティストは誰ですか?
そこから英語を考えてみても良いかもしれませんね。
たとえば,「YOASOBI」って英語でなんて言うんだろうって(笑)
そんな内容もこれからお伝えしようと思います〜。
それではまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。