「エコロジー」と言う言葉が日本では当たり前のように聞かれますが、アメリカではまだまだ知らない人がほとんど。インテリジェンスのある人々には普通の言葉のようですが、アメリカでも貧富の差が1番大きなニューヨークでは、それ以外の人々にはあまりインパクトがないようです。
ゴミを出さないために何か自分が努力をする、というようなことは、日本では当たり前のように感じられますが、アメリカの低所得者層の住む地域では、まだまだそこまで人々の認識は行っていません。ゴミ箱があっても、その周りに投げ捨てられたゴミが散乱していたりもします。
いちど、ニューヨークのバーで近くの席の人たちと世間話をしていた時に、日本ではエコロジーの意識がとても高くて、と言う話をしたら、それなら、日本のデパートで買い物をすると、なぜあんなに過剰に何重にも包んであるのか、と言う質問を日本に行ったことのあるアメリカ人からされました。
たしかに。日本のデパ地下で食品を買うと、帰宅後、家のゴミが山のように増えたのを思い出します。雨が降っていれば、紙袋にビニール袋までかけてくれるし、至れり尽くせりですよね。レストランでは、マスクを入れるマスク用シートが各個人に配られていたのにも驚きました。
日本では、ゴミをなるべく出さないように各個人は家庭で頑張っているのに、ビジネスではあらゆるものを使い捨てにして、新しい商品が売れるようにどんどん開発している。見事な矛盾です。快適な生活を目指し経済を良くするのと、ゴミを減らして生活を簡素化するのでは明らかに逆方向ですものね。
話をニューヨークに戻して、とりあえず、家庭用のゴミは、普通のゴミ、不燃物(瓶や缶)、紙類の3種類に分けて出します。私の居住しているアパートには専門のゴミ要員がいて、数時間ごとにゴミ集配所の仕分けごとのまとめと清掃を行ってくれていて、いつエレベーターの脇のごみ収集所を通りかかっても、ゴミの匂いは一切しないし、ゴキブリなどは1匹も見たことがありません。
24/7※で出せるので、とてもありがたいです。段ボールなども別に壊さず、そのまま置いておけば、係りの人がきちんと壊して紐でまとめておいてくれます。
※Twenty four seven / 24時間×7日間 つまりはいつでも
わりとすぐに法律が変わるので、今もそうなのか、ちゃんと管理人のいるアパートに引っ越してから20年ちょっとが経つので詳しく覚えていませんが、20年ぐらい前は、ゴミ袋の種類は3つあり、黒は燃えるごみ、透明なゴミ袋はペットボトル、缶、ビンなど、そして段ボールや雑誌などは紙類としてひとまとめにして、週2日位収集日があるので、その日の朝か前日の夜ぐらいに家の前に出してたと思います。
後は、一般の家庭ゴミ以外の、ビジネス上のゴミは、かつてはマフィアが片付けていると言われていました。ニューヨークシティーの清掃車は、ガベッジ缶やビニール袋に入った家庭ゴミだけしか持って行かないので、レストランや町工場、古家具、冷蔵庫、縫物工場から出る布切れ、レストランの食品ゴミなどは、プライべ-ト清掃車にたのむことになりますが、それがマフィアらしかったんです。
これは夜中の2時から4時位の間に来ます。思いっきりブザーを鳴らしながら、ガリガリバリバリと、戦車のようなでかいトラックで来るので、近所ですとなかなかの騒音で厳しいです。
さてゴミの話でもう一つ。最後はエコで締めましょう。Compost(コンポスト)とは、有機物を分解させ、肥料やクリーンエネルギーに変えることだそうです。例えば、野菜や果物の皮や使いきれない野菜くずなどを、しばらく天日に晒したりして、肥料としてそれを再利用するのです。
最初、このアイディアを聞いたときに自分でもベランダでできるのかなと思ってやってみたのですが、虫が湧いたりして、なかなか個人では難しいのかなと思って、これを地域で公的に回収してくれたら良いのにな、と思うようになりました。
調べてみたところ、ニューヨーク自体で、約200カ所近く、コンポストのゴミを回収してくれる場所があるそうです。スーパーマーケットなどにあれば、買い物のついでに自分のコンポストを持っていけば良いので、便利ですよね。
→ https://www.grownyc.org/compost
自分たちが長年お世話になっている地球ですから、各自できる限りでいいから、大切にいたわってあげたいですよね。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。