10年に一度という大寒波が日本を覆った1月。
ニュースでは,カチコチに凍った道路やツルツルになって滑ってしまう歩行者などが映し出され,
夏の猛暑も不快だけど,寒すぎるのも辛いと身にしみて感じたこの冬。
ところで,この「ツルツルに凍った道路」のツルツルって
英語ではどのように表現するか,考えたことがありますか。
―英語のオノマトペ―
英語を学習していると,いろいろな単語や熟語などを覚えたり,
表現を何度も口に出して練習したりしますよね。
でも案外,日常の会話の中で使うのに学習しない表現ってあるんですよね。
たとえば,日本語ではよく使うオノマトペ。
「ブ〜ン」「キラキラ」「チクチク」のように,感覚などを表現するときに使うアレです。
英語の発音では,“onomatopoeia”(オノマトピア) と言い,会話の中では「ピ」にアクセントを置いて,「オノマノピア」のように言います。
ワンワンやニャーニャー,シュッポシュッポなど,音そのものを聞こえたまま表すものは
英語でも,
犬「ワンワン」= “bowwow”
猫「ニャ―ニャ―」= “meow” or “mew”
汽車「シュッポシュッポ」= “choo-choo”
などがあります。
ほら,「choo-choo トレイン」って歌でもあるじゃないですか。
あれも日本語で言うと,「シュッポシュッポと音を立てる汽車」,
つまり「汽車ポッポ」なんですよね。
また, “buzz”というオノマトペもあります。
これは, 「ハチなどがブ〜ンと音を立てる」や,「人々がガヤガヤと話す」ということを表します。
最近,一気に話題になったり噂になったりすることを
「バズる」
って言いますよね。
それもこの「ガヤガヤと話す」=「噂になる」ということから来ているんですね。
このように,聞こえた音をそのまま表したようなオノマトペは,英語圏の人はこのように表現するんだ,と「ちょっとした知識」として知っておけばOK。
だって,知らなくても
「その音のモノマネ」
をすれば全然大丈夫ですし,会話の中では十分に通じます。
でも,音をそのまま表すものとはちょっと違うものもあるんです。
みなさんは, “drip” と聞くと何を思い浮かべますか?
コーヒーを淹れる「ドリップ」を思った人もいるのではないでしょうか。
この “drip”も,英語では
「(水などが)ポタポタと落ちる」音も表すんです。
でも音だけではなくて,感覚の場合は困りますよね。
先日,私はこんな経験をしました。
その日は,これまでに何度も来ているお気に入りのTシャツを着ていました。
でも,背中の真ん中あたりがなんだかチクチクするんです。
チクチクするたびに,なんだか痒くなってくる。
でも出先なので,Tシャツを脱いで確認することもできない。
「あー,チクチクする」
「あー,痒い」
この「チクチクする」って,なかなか英語を学習するときに出くわす単語ではないですよね。
なのに,「えー,これ英語ではどう言うの?」ということって結構ある。
もうこうなってくると,オノマトペではなくそのものの表現になってきます。
ですので,ちょっとだけ覚えておきましょう。
通常,「チクチクする」って「ちょっと痛い」って感じですよね。
なので, “prickly”という語を使うことができます。
これはサボテンを触った時のような「チクチクして痛い」という感じ。
トゲトゲしている感じかもしれません。
シャツやセーターが「チクチクして痒い」という感じは,ただ単に
“itchy”(痒い)
でOKなんです。
「チクチクして痛い」方が強ければ, “prickly”を使います。
“This shirt is itchy!”
(このシャツ,痒いよ!)
“This shirt is prickly!”
(このシャツ,チクチクして痛い!)
この表現で十分なんです。
さて,私の背中をチクチクさせていたTシャツ,帰宅後にシャツを脱いで確認してみました。
すると,ダウンジャケットから飛び出したんでしょう。
小さな羽がシャツの背中の部分に突き刺さっていたんです。
そりゃ,チクチクするはずですよね。
―ツルツルは?―
単に「ツルツル」って言っても,日本語ではいろんなツルツルがありますよね。
うどんの麺がツルツル
お肌がツルツル
道路が凍ってツルツル
頭がツルツル(笑)
英語で「ツルツル」は基本的に “smooth”が使えます。
日本語でも使う「スムーズ」です。
日本語で「スムーズ」というと,「スムーズに進む」「スムーズな案内」というイメージが強いかもしれません。
お肌がツルツル」「スベスベ」は
“smooth skin”
と言うんです。
“You have smooth skin!”
(あなた,お肌がツルツル(スベスベ)ね。)
のように使います。
うどんのような麺がツルツルしたという場合も,
“smooth”が使えます。
“I like udon’s smooth texture.”
(私はうどんのツルツルとした食感が好きです。)
のような感じです。
「頭がツルツル」も, “smooth”を使って
“His head is so smooth.”
(彼の頭はとってもツルツルだよ)
ということもできますし,単に
“He is bald.”
(私はハゲです。)
とも言えます。
ただ,この “bald” には,日本人がよく笑いものにするような「ハゲ」の意味はあまりありません。
ここまで紹介した「ツルツル」は “smooth”という語を用いて表現することができます。
“smooth”(スムーズ)には,ネガティブなイメージはあまりありません。
しかし,「道路が凍結してツルツル」は,ちょっと危ないですよね。
ですので,“smooth”は使わずに,
“slippery”
を用いて表現します。
日本語でも,「スリップ」というと「すべる」とすぐに思い浮かべることができます。
それを形容詞にすると, “slippery”。
「滑りやすい」という意味です。
“The roads have frozen and are slippery.”
(道路は凍っててツルツルしてるよ。)
のように使うことができます。
まだまだ寒い日は続きます。
どうぞ “slippery”な道路には気をつけてくださいね。
それではまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。