「あなたの趣味は何ですか?」
この質問を英語に訳すとしたら,
あなたはどんな英文を思いつきますか?
きっと多くの人は,
“What’s your hobby?”
と答えたのではないでしょうか。
もちろん,英文としては完璧です。
でも,この “hobby”って単語,
私たちが思う「趣味」とはちょっと違うらしいのです。
―「趣味」≠ “hobby”?―
毎朝,愛犬のアサンポ(朝の散歩)をしていると
ウォーキングをしている人たちとすれ違います。
中には顔見知りになって,話しかけてくれる方も。
ある方が,
「朝のウォーキングが私の趣味なんだよ。」
とおっしゃったんですね。
「そうなんですね!」というだけの対話。
別に何も変なところはありません。
でも,一旦これを英語に直訳してみると,
“My hobby is walking in the morning.”
(私の趣味は朝に歩くことです。)
のような文章になりますよね。
英文も問題ありません。
でもこれ,ちょっとだけニュアンスに首を傾げるネイティブが多いんです。
辞書で “hobby”を調べてみると
“an activity that someone does for pleasure when they are not working”
(働いていない時に,楽しみなどで行う行動)
となっています。
ですので,何も問題ないと思いますよね。
その英英辞書の説明だと,
ギターを弾くこと
本を読むこと
テニスをすること
音楽を聴くこと
ウォーキングをすること
映画を観ること
などだって “hobby” と言えるハズ。
でも,でもですよ!
「それらは “hobby”じゃゃないよ。」っていうネイティブがすごく多いのです。
辞書と実際に使われる “hobby”のニュアンスが違う…。
それは一体どういうことなのでしょうか。
―実際の “hobby”は?―
知り合いのネイティブたちにそのことを聞いてみると,
「“hobby”というと,[釣り]や[フィギュア等のコレクション],[模型作り]など,本格的にお金をかけてやっている好きなことってイメージ」なのだそう。
「だから,ウォーキングや読書なんかは,[好きなこと]であり, “hobby” というとちょっと大袈裟な感じ。」
なるほど!
お金や時間をかけて本格的にするのが “hobby”で,読書や音楽を聴くことは「好きなこと」になるんですね。
だから,「好きなこと」を聞きたい場合は,“What’s your hobby?”と訊くよりも,
“What do you like to do in your free time?”
(時間のあるときには何をするのが好きですか?)
のように言うのが自然なのだそう。
確かに,日本語でも
「趣味は何?」
と訊かれると,「特に趣味って趣味はないよなぁ。」って思ってしまう私。
考えてみたら日本人同士の会話だって
「時間があるときは何をしてるの?」
「暇なときは何をするのが好き?」
のように「趣味」という言葉を使わずに質問する気がします。
それと同じなのかもしれませんね。
―日本語でも…―
「趣味」というと,「好きなこと」よりも精通しているイメージの方が強いかもしれません。
辞書で「趣味」の同意語を調べてみると,
・道楽
・余暇活動
という語が掲載されています。
もし外国の人が日本語の辞書で「趣味」の同意語を知ったとします。
その方が,
「私の道楽はガーデニングです。」
と言ったら,きっと私はこう思うってしまうと思うのです。
[道楽って,そういう使い方じゃなくてギャンブルとか酒とかじゃないの?]と。
でも,辞書には,
「道楽…本業以外のことに熱中して楽しむことを意味する」
と最初に書いてあります。
もちろんギャンブル等のイメージも書いてはあるのですが,「熱中して楽しむこと」と最初にあったら,そう思って使う外国人の人もいるかもしれません。
また,もう一つの「余暇活動」と言う言葉で言われたら,
[ボランティアでもしているのかな?]
というイメージが浮かぶかもしれません。
このように,辞書には同じような意味として掲載されていても
実際に使う言葉によってそのイメージが変わってくる,ということを考えると,
ネイティブにとっての“hobby”もそんな感じなのかもしれませんね。
そう考えると,なんとなくネイティブが持つ “hobby”のイメージもわかるような気がしませんか?
言葉っておもしろいですね。
でも,「使ってはいけない」と思わないでくださいね。
ネイティブと話す際に,
“What’s your hobby?”(趣味は何ですか?)
“Do you have any hobbies?”(趣味はありますか?)
と聞いても全く問題ありません。
もしかすると,「(本格的な)趣味はないなぁ。」と応えられるかもしれません。
そんな時はこのお話を思い出せば,
“What do you like to do?”(何をするのが好き?)
と言い換えることができるではないですか!(笑)
私は,このように
「言い換えることのできる知識」
はたくさん持っておいた方が良いと思うのです。
ですので,これからも一緒にいろいろな知識を増やしていきましょう!
私もまだまだ勉強しまーす。
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。