「その英語,失礼ですよ。」
というようなタイトルの本や動画を見たことはありませんか。
たしかに,失礼な表現や言い方はあると思います。
でも,それら多くの本や動画が説明しているのは
「状況によっては好ましくない場合もある」
ということ。
だから,
「あ,そういうことね,なるほど!」
と理解できるのですが,
実は絶対に失礼なこと!があるんです。
もしかしてあなたはソレ,やっていませんか?
― “What’s your name?”はダメじゃない!?―
本や動画などで,
“What’s your name?”
と名前を聞くのは,
「入国審査官や警察官に質問されている感じがする」
と説明されているのを読んだり見たりしたことがあります。
たしかに,ちょっと緊張するような場面ではフレンドリーには言わないし,
“Could I ask your name, please?”
のようにすごく丁寧に言われるイメージもありません。
でも,
“What’s your name?”
という表現自体が間違っていたり,悪いと言っていたりするわけではないんです。
以前,こちらにも書いたのですが,
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これらは
「言い方次第」。
とてもぶっきらぼうに,強く冷たく
“What’s your name?”
と言うと
「そんな言い方失礼でしょ。」
と捉えられる可能性大。
日本語でもそうじゃないですか。
とある受付で,
「お名前は何ですか?」
と,まるで怒ったように冷たく強く言われたら良い気分はしませんよね?
反対に,
「お名前は何ですか?」
と,にこやかに優しく言われたら,嫌な気持ちはしないと思います。
それと同じ。
“What’s your name?”
という英語表現が悪いわけではなく,言い方次第なのです。
でも,明らかに失礼にあたることがあるのです。
これ,とっても大切なことなので,できれば心に留めておいてくださいね。
― “appearance”(容姿)―
今でもよく覚えていることがあります。
昔,会社でエレベーターを降りた時,ある日本人の上司に出会ったんです。
会うのがすごく久しぶりのその上司,
「お久しぶりです」と言おうとしたその時,
「太ったねぇ!」
と言われたんですね。
・・・
(久しぶりに会ってそれかーい!)
と思ったのですが,笑顔で会釈して無言でスルーしました(笑)
このように,日本ではよく
「痩せたんじゃない?」
「太ったんじゃない?」
と,体型について言いがち。
これについては,
「たしかに人に言われたくないよね」
と,理解はしやすいと思います。
でも,次の場合はどうでしょうか?
先日,あるテレビ番組を見ていたときのこと。
ある有名俳優が突然,商店街に現れたんです。
その時,その有名人を見た多くの人たちの口から出てきた言葉…
それは,
「わあ,顔が小さ〜い〜♪」
どうでしょう。
おそらく多くの人は,
「顔が小さくて体型が良い=私たちとは違ってさすが芸能人」
という意味合いで言っていて,褒めているので特に問題ないと思うと思います。
でも,これはNGなんです。
それはなぜなのでしょうか。
日本人からすると,
「顔が小さい」=「スタイルが良い」
というイメージがあるかと思うのですが,多くの欧米人は
“Wow, your face is so small.”
(わあ,あなたの顔はとても小さいですね。)
と言われると,
“face”= “head”
つまり頭だと思うそうなんです。
だから,
「顔が小さい=頭が小さい=脳みそが小さい=頭が良くない」
「顔が小さい=頭が小さい=バランスが悪い体型」
のような意味合いでとられてしまうみたいなんです。
ここで一番怖いのが,
「褒めたつもりで言っている」
ということ。
“What’s your name?”どころのお話ではありません。
まったく悪気がなく言っているのに,本当は相手を怒らせているかも…,
怖いですよね。
そういうことを避けるためにも,このように普段から
「知識や情報を増やしておく」
ということが大切だと私は思っております。
―相手の体については言わないほうがいいかも―
「顔が小さい」=「頭が良くない」
と思われているなんて,こっちは全然思わないじゃないですか。
そこが日本の感覚と違うところ。
それを知るって本当に大切だと思うんです。
以前,放送中止になったCMを覚えていらっしゃるでしょうか。
日本の航空会社のCMで,ある芸人さんが外国人のつもりになって「付け鼻」をしていたんです。
これが「差別だ!」となって放送中止になったのですが,一部では
「これのどこが差別?」
という声もありました。
「鼻が高い」ということ=顔立ちが良い,
とイメージしている人が多いのかもしれませんが,欧米では決してそのようなことはないんです。
だから,
“Your nose is very tall.”
(あなたの鼻はとても高いですね。)
のようなことも,わざわざ言う必要はないんですね。
ということで,英語でお話をする時は相手の体型や顔だちなど容姿に関わることにはあまり触れないことをオススメいたします。
―じゃあ,褒める場合は?―
“I like your hair color.”
(あなたの髪色いいね。)
“I like your T-shirt.”
(あなたのTシャツいいね。)
そんな感じでしょうか。
だって,容姿や体型ってもっともっとプライベートなエリアですもの。
敢えてそこの言及することができるのって,
「相手との信頼関係が築けている場合」
だけだと思うんです。
親しい友人や家族であれば,何かしらアドバイスや注意,心配などで言う事はあると思います。
だからやっぱり,そこまで踏み込んで話せる関係ではない限り,
「容姿,体型についてはこちらからは言わない」
というスタンスが良いかもしれません。
と,ここであることを思い出しました。
私が10代からの友人に久しぶりに会った時のこと。
当時,35歳くらいだったので10年以上ぶりに会う友達。
「ロサンゼルスで会おう!」って事になりました。
私の自宅近辺まで車で迎えに来てくれるというので,近所のスーパーで待ち合わせしたんです。
駐車場に入ってきて,すぐに私を見つけたらしい友人。
携帯をいじっている私に大声で叫んだ言葉。
それが,
“Hey, Cozy!!! Where has your hair gone!?”
実際には,
“Hey, Cozy!!!
W H E R E H A S Y O U R H A I R G O N E !?
のように,一言一句,大きな声をゆっくりとはっきりと笑顔で言われたんです(笑)
これには私も大爆笑。
10数年ぶりに会ったのに,いきなり
「おい,コージー。一体,髪の毛はどこに行ったんだ?」
って。
いやいや,遺伝なのよ,きっと…
まあ,それからはなんとかキープできてますわ(笑)
ってか,大声で言い過ぎじゃない?
と車の中で抗議したのは言うまでもありません。
と,これを言えるのはやっぱり,それだけの言える関係があるから…
です。
ですよね,きっと…。
絶対に言えることは,
普通の人たちとの関係ではやっぱり言わない方がいいです,ということ。
ということでまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。