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英語が脳卒中対策に!?

World Lifeな生活
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脳卒中になったある人が、日本語でなく英語が口から出たと聞いたら、あなたは「えっ?」と思いませんか?

私は非常に驚きました。

その方は脳梗塞で10年間、半身不随。

今回初めて奥様から伺ったのは、10年前の脳梗塞の日、日本語は出てこなくなったのに、

「Good morning」等、英語は口から出てきたというお話。

(これって、英語が失語症の備えになるってコト?英語の勉強ってラッキー?)

もっときちんと知りたくって、医学論文を読み、実際に医学講演会に出かけました。

そして結果をぜひ、あなたとシェアしたくって、この記事を書きましたw

まずは、信頼できる英語の医学論文サイトで、似た例を探しました。

医者の友人から以前から聞いていた論文サイトは、Pubmed(医療関係者用)といいます。今回初めて開きました。

(英語だけペラペラ出てきたってことは、母国語が脳卒中で失われたが、学習した外国語が残ったということかな)

と考え考え、数回検索後、うまくヒットしたキーワードが、結局

脳梗塞(infarction / インファ―クション)と、bilingual / バイリンガル。

(脳梗塞は血管が詰まること→追記)

ヒットした時は、少しどきどき、何だか推理小説みたいでw

スペイン人ドクターが、20年位前に診断した、一人の女性患者についての報告論文のよう。
以下はその冒頭。私がまとめたもの

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
患者は、ガリシア語が母国語の女性(91才)
(注:ガリシア語とは,スペイン国内の北西部、ポルトガルに近い地域の言語)。

家族によると、彼女は何の前触れもなく、突然スペイン語を話し始めた。

スペイン語は、彼女にとっては外国語。10代の昔、学校で4年間習ったが、それ以降話す機会はほぼなく、現在は年に一、二度訪問してくる孫との会話で使う位だった。

ただ彼女は、スペイン語の読書はほぼ毎日していた。(スペイン語聖書の読書)

またスペイン語を聴くのも、ほぼ毎日していた。(スペイン語のTV放送を毎日2時間程視聴)

母国語ガリシア語の読書は、そもそも学校で習ったことはなかった。

家族は不思議に思い、他に特別な症状や変わった点はなかったが、念の為来院した。

検査中、彼女は普通にスペイン語(彼女にとっては外国語)で話した。

このような症例の報告は数少ない。

Paradoxical recovery in a bilingual patient with aphasia after right capsuloputaminal infarction - PubMed
We report the case of a bilingual dextral patient, who presented with an uncommon pattern of aphasic deficit following a right capsulo-putaminal infarction. In ...

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論文ではさらに、

〇画像診断で彼女の脳に軽い脳梗塞が起こっていたのが分かった

〇母国語が出てこなくなったのはその為。

〇外国語の能力残存は、外国語を司る部分が脳梗塞の影響を受けなかったから?

とあったみたい。

以下は論文の結論を私がまとめたもの。(L1,L2は母語と外国語)

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Studies on bilingual aphasia suggest
(バイリンガルの失語症患者研究から)
that dominant basal ganglia lesions impair access to the mother tongue while sparing L2.
(大脳基底核の損傷は母国語を損なうが外国語能力は残るということが推定される)This was coherent with a hypothesis by Paradis, who suggested
(ある仮説では)
that, given that L1 uses unconscious learning strategies typical of implicit memory, (different from) L2, generally learnt by means of conscious strategies, typical of explicit memory.
(母国語は無意識の身体感覚で学ぶが、外国語は意識的な学習戦略で覚える為、関わる脳の部位や記憶システムが異なる)
Given that basal ganglia are involved in implicit memory but not in explicit memory
basal ganglia大脳基底核という脳部位は、母国語の無意識の習得に与り、意識的な外国語の習得には無関係)
, a lesion of the basal ganglia should impair L1 but not L2.
(だから母国語の能力が損なわれても、外国語能力は残るはず。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

結局、脳卒中の場所次第では、母国語で失語症になっても外国語能力が無事に残る可能性があるということみたい。

最後は講演会。

市医療センターの脳神経外科部長氏が、脳卒中について一般的な講演を行うと知り参加。講演後、質問しちゃいました。

「先生、卒中後、母国語(=日本語)が出てこなくなっても、昔習った外国語(英語)の力が残る可能性はありますか?」

ドクターの回答をまとめました。

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「学んだ経験がない外国語が、急に話せるようになる…はありません。あくまで英語の学習経験あっての話でしょう。脳の損傷部位、程度、対応の早さ次第では、その可能性はあるでしょう。一般に多様な学習や活動が脳にとって良いことであるのは確かです。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど、可能性はアリそう。

脳卒中や失語症に万一なったとしても、何かのコミュニケーション手段が、あるとないでは大違いな気がします。日本語が失われた極限状態で、英語があなたのlifeline / ライフライン(命綱)になってくれるかも?

いざという時役立つのなら、外国語学習には福が隠れているとも言えそうですね。

人生何が起きるか分かりません。英語を引き続き学び続けると良いですね。

Until next time,
Jiro

<英語版>

知ってる内容を英語ルートで理解する。洋画で字幕を読んで英語を聞くように。
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆

 

追記1:
◯脳梗塞をめぐる英単語のまとめ。
脳の血管の病気(卒中 stroke) を我流で大別すると詰まるか破れるか。

詰まりは梗塞(こうそく)Iinfarction / インファークション
破れるは溢血(いっけつ)hermorrhage  / へモリッジ

形容詞 cerebral / セレブラル(「脳の」)がつくとより正確

脳卒中ーstroke
1.脳梗塞 cerebral infarction
2.脳溢血(出血)cerebral hemorrhage

グラフを見ると、詰まりが8割近く。
(このグラフの脳出血(赤)には「クモ膜下出血」が1/3位含まれている)

追記2:
◯参照した実際の論文の題
Paradoxical recovery in a bilingual patient with aphasia after right capsuloputaminal infarction
「右の深部梗塞後逆説的回復をしたバイリンガル患者」

上記のように、ガリシアのご婦人はスペイン語の読書とテレビ視聴は、ずっと継続していたようですね。これもスペイン語能力が残る一因だったかも。

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