おはようございます。
木曜日のCozyです!
暑い日が続いていますが,いかがお過ごしですか。
先日,あるポスターを見たんです。
そこには,英語で
“Japan’s oldest …”
(日本の最も古い…)
と書かれていました。
そこで問題です。
「日本の」という意味を表すのは,
“Japanese”
があります。
でもここには,
“Japan’s”と書いてあります。
この違いって何でしょうか。
― “Japanese”と “Japan’s”,ある感覚の違い―
先日,あまりの暑さに
「夕食は居酒屋へ入ろう」
となったんです。
通されたテーブルについて,ふと横の壁を見ると
ある有名メーカーのポスターが貼ってありました。
「あ,このポスター好きだな」
と思って見ていると,英語が書いてあります。
そこには,
“Japan’s oldest label”
と書いてあったのです。
私は,飲み物を待ちながらちょっと考えてしまいました。
「あ,これ,Japanese oldest labelって思っちゃうよな」って。
「[日本の]なんだから, “Japanese” でいいじゃん」って。
でも,これ
「あえて」
なんです。
実は表現としてちょっとした違いがあるんです。
その違いって
「形容詞」か「所有格」か,ということ。
“Japanese”は形容詞の「日本の」。
“Japan’s”は,所有格の「日本の」。
ちょっとややこしいですよね。
たとえば,
“Japanese food”や,“Japanese people”。
この “Japanese”は形容詞で,「日本の食べ物」「日本の人々」という意味です。
じゃあ,ポスターに書いてあったのは
「日本の銘柄」という意味だから
“Japanese label”
でもよさそうですよね。
実際,間違いではありません。
でも,ポスターはわざわざ “Japan’s” という表現を使っていた…。
なぜ “Japanese oldest label” じゃなくて,
“Japan’s oldest label” なのでしょうか。
実は,ここにネイティブが自然に使い分けている 「ある“感覚”」 が隠れているんです。
―特徴と所有,どっちを伝えたい?―
でも難しくないので飛ばさないで!笑
“Japanese” は「特徴」を表す形容詞。
つまり,「日本に関係した」「日本風」「日本由来の」というイメージの「日本の」です。
一方,“Japan’s” は所有格。
「所有格」は「所有」なので,「持っている」を表しています。
つまり, “Japan’s” は,
「日本固有の」「日本が持っている」
という関係をストレートに示しているのです。
もしこのポスターが
“Japanese oldest label”
と書いてあっても,それは間違いではありません。
でも, “Japan’s”と比較すると,
「日本(に由来する)の最古のブランド」
のように,より
「日本の国」
に焦点を当てて表現しているととらえることもできるんです。
一方, “Japan’s”の方は所有格。
所有=「日本が持っている」ということ。
このニュアンスの中には,
「日本が誇る」
という意味も含まれているのかもしれませんね。
ビールメーカーが言いたいのは,
「これは日本が生んだ,日本の最古の銘柄なんだ!」
という誇りだと思うのです。
だから,特徴を表す “Japanese” じゃなくて,
所有を示す
“Japan’s” がぴったりだったんですね。
―例えるなら「和牛」と “Wagyu”―
今,世界でも大人気の和牛。
和牛の定義は,
「黒毛和牛など,日本で品種改良された4品種とそれらの交雑種」
で,日本国内で生育された牛のみ。
しかし,
“Wagyu”
として親しまれている海外では,
「血統は和牛由来だけれど,生育は海外。交配種も多い」
なんですって。
だから
「和牛」は日本固有の “Japan’s beef”
だけれど,
“Wagyu”は,
“Japanese beef”(日本由来の牛肉)
で,
「和牛」は,
“Japan’s beef”(日本という国が持つ牛肉)
というニュアンスなのです。
―アメリカでも同じ話―
これは, “American” “America’s”でも同じです。
アメリカの大統領であるドナルド・トランプ。
彼は,アメリカ人なので “American”ですが,
アメリカという国が持つ大統領。
ですので,
“American president”
ではなく,
“America’s president”。
国が持つ役職だからです。
でも,アメリカの食事のことは
“American food”
と言います。
それは,
「アメリカ風」
「アメリカの特徴がある」
料理だから。
こういう微妙な使い分けって,テストではあまり出ないですよね。
でも,街のポスターや,ちょっとした広告のコピーには,
英語圏の人が何をどう感じるか,がにじみ出ています。
英語って,学校で習ったルールだけじゃなくて,
「どんな気持ちで,どんな立場で言うか」
で表現が変わるんですよね。
“Japan’s oldest label”
この一言だけで,
「ああ,日本が誇るブランドなんだな」
と思わせる力がある。
言葉の選び方ひとつで,伝わるものが変わる。
だから英語って面白いですよね。
今度,街で “Japan’s”と書いてあるポスターや看板を見かけたら,
「お,この日本という国の代表的なものかな」
と,気にしてみてくださいね。
では,今日も良い一日を!
See you ~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。