おはようございます。
木曜日のCozyです!
以前,英語講師としてある研修にお招きいただいたことがありました。
初日,会場に入って担当の方とご挨拶。
気がつくと口から出たのは――
「今日はお世話になります」
日本語ではごく普通のあいさつですよね。
でもこれ、英語にしようとすると…
「あれ、どう言えばいいんだろう?」と一瞬止まりませんか?
あなたならどう表現しますか?
―前もってお礼を言う「お世話になります」―
ホームステイが始まり、初めてホストマザーと対面したとき――
心の中でこうつぶやいていました。
(「今日からお世話になります」って言わなきゃ!)
(…でも英語でどう言うんだっけ?)
頭の中は,何か言わなきゃ!と一生懸命でした。
結局,口から出たのは
“Nice to meet you.”(笑)
まあ,今思えばこれでも良かったのですが,当時は
「これからお世話になります」
を英語にしようと必死だったんです。
そんな「お世話になります」という表現ですが,
これって、とても便利な表現なんですよね。
仕事で取引先を訪ねるとき。
短期のプロジェクトに参加するとき。
知人の家に泊まるとき…。
まだ何もしてもらっていないのに、
「これからの関わりに対する感謝を先に」
伝えてしまう。
「感謝を先に伝える」なんて,ちょっと面白い表現だと思いません?
この一言の中には、
「これからよろしくお願いします」
という気持ちと、
「助けていただくことになるかもしれません」
という未来への前置きが、ぎゅっと詰まっているんですよね。
本当に日本らしい言葉だなぁ,と思います。
―英語で「お世話になります」ってどう言うの?―
実は「お世話になります」のような
「未来に向けた感謝」
を一言で表す決まり文句はほとんどないんです。
なので,場面ごとに言葉を選び分ける必要があるんですね。
例えば、誰かの家や職場に迎え入れられるような場合。
このときは
“Thank you for having me.”
(私を受け入れてくれてありがとう)
ホームステイや滞在先、招待されたイベントなど、“受け入れ”がメインの場面で使うことができます。
ただ、ビジネスの場面だと少しカジュアルに感じられることもあるかもしれません。
仕事や研修でこれから一緒に活動する場合は、
“I look forward to working with you.”
(あなたと一緒に仕事をするのを楽しみにしています)
これは,メールの締めにもよく使われますし、対面のあいさつでも使うことができる表現です。
このように,英語圏では、
「楽しみにしている」
とはっきり言うのが普通。
日本語の
「今日はお世話になります」
という控えめなニュアンスとはちょっと違うかもしれませんが、このストレートさが心地よく受け止められることも多いんです。
そしてもう一つ、これからのサポートや協力への感謝を先に伝えるなら、
“I appreciate your help in advance.”
(あらかじめご協力に感謝します)
という比較的フォーマルな言い方です。
ただ、これはちょっと書き言葉寄りなので、メールや文書でのやりとりの方が向いているかもしれませんね。
―日本語では「先に」,英語では「後で」言う感謝の言葉―
こうして見比べると、日本語の「お世話になります」は本当に懐が深いと思いませんか。
物理的なお世話も、精神的なサポートも、これからの信頼関係も――
全部まとめて表現できてしまうんです。
一方の英語は、状況・関係性・場面ごとに使い分けが必要。
一語一句でピタリと置き換える表現は存在しません。
これは文化的な背景も影響しているからなのです。
日本語は「まだ起きていないこと」にもかかわらず,
「先に感謝を述べる」
ことも多くあります。
これが礼儀や人間関係の潤滑油になってるのかもしれません。
しかし,英語では「実際にしてもらったこと」への感謝が基本。
つまり,
「後でお礼を述べる」
というのが英語では一般的なんですね。
未来の行動へのお礼を言うときは、
“in advance”
のように,
「あらかじめ」
「前もって」
のような表現を付け加える必要があるんです。
次に誰かに「お世話になります」と英語で言う場面があったら、覚えておいてくださいね。
滞在先なら
“Thank you for having me.”
一緒に活動するなら
“I look forward to working with you.”
事前の感謝なら
“I appreciate your help in advance.”
きっと、日本語と英語の感覚の違いを実感できるはずです。
ということで,
“Thanks in advance for reading next week!”(笑)
(来週も読んでくれてありがとう)
それでは,今日も良い一日を!
See you next week~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。