こんにちは
NYのKayoです。
3月8日、ニューヨークでは、時計が1時間進みました。いわゆるサマータイム、正式には Daylight Saving Time / デイライト・セイビング と呼ばれる制度です。
春になると時計を1時間進め、秋になるとまた1時間戻す。日本には無い習慣なので、「なぜそんなことをするの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
実際、人々の多くはこの制度の理由をあまり知らないまま、「アメリカはそういうものらしい」と受け止めている気がします。
ところがこの制度、意外と奥が深く、しかも賛否両論。長年続いているわりには、いまだに「本当に必要なのか?」と議論され続けているのだそう。今日はその辺を、探ってみました。
夕方の光をちょっと拝借
サマータイムの基本の発想はとてもシンプルです。
夏は日が長いので、時計を1時間進めれば、仕事や学校が終わったあとも外が明るい。つまり「夕方の明るい時間を、有効に使おう!」という考え方です。
夕方が明るければ、人々は散歩したりショッピングしたりスポーツをしたりサイドウォークで飲食を楽しんだり、と外に出ます。各パークやゴルフ場なども大賑わいで、結果として小売業やレジャー産業も活気づく。
もともとは照明の電気を節約するという目的もありましたが、最近ではむしろ、経済効果のほうがよく語られるようです。確かに、夕方の光は人をちょっと外へ誘う、素敵な魅力がありますよね。
牛は時計に従わない、、、
ところが、この制度をあまり歓迎していない人たちがいるのだそうです。それが農家の方々です。
意外でしょう?なぜ歓迎されないのか、
サマータイムは農業のためだと思っている人も多いのですが、実際はその逆。農業の仕事は、ほぼ時計ではなく、太陽で動きます。牛の搾乳も餌やりも、毎日ほぼ同じリズムで行う必要があります。そこへ突然「今日から1時間早くなったの」と言われて、1時間早く牛乳収集のトラックに来られても、牛は時計を理解しないので、リズムが狂ってしまうのですね。
人間社会の都合で、時計だけ変わる。農家にしてみれば、「太陽はそのままなのに、なんでよ?」という気持ちになっちゃうのも、わかる気がします。
便利と不便のせめぎ合い
さらに最近では、健康や安全の問題も指摘されているのですって。
春の時間変更の直後は、睡眠不足や体内時計の乱れで、体調を崩す人が増える、とも言われているんです。加えて、州によって実施の仕方が違うため、国内でも時間の扱いが少しややこしくなることがあります。
便利な面もあるけれど、不便な面も確かにある。この制度は、まさに「光をどう使うか」という人間社会の知恵と、生活リズムの現実とのせめぎ合いなのかもしれません。
終わらない時計の議論
実はアメリカでは今でも、「いっそ時計を動かすのをやめたらどうか」という議論が続いています。
中でもよく出てくるのが「一年中サマータイムにしてしまおう!」という案です。確かに年に2回、時計を変える面倒はなくなります。
ただし今度は別の問題が。
それだと、冬の朝がとても暗くなるのです。場所によっては、子どもたちがまだ真っ暗な中で学校へ向かうことになるかもしれないので、安全面の心配もあり、この案にも賛否が分かれています。
結局のところ、人間は太陽と時計の間で、まだちょうどいい答えを見つけていないのかもしれません。
春になるたびに時計を進めながら、「さて、これでいいのだろうか?」と考え続けている。でも「夕食前にセントラル・パークを散歩できたりするのは、抜群に気持ちいいしなぁ!」と素直に思えたり。
というわけで、いろんな意見がありながらも、とりあえず今年は催行された、そんな制度みたいです。
それではまた次回♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。

