1年2ヶ月ぶりに、バーの営業が始まったニューヨーク。やっと、長かった家飲み生活にもピリオドです。それはそれでとっても楽しかったですけどね。いろんなおつまみや、カクテルの作り方も覚えたし。
そんなニューヨークのバーで、この夏とっても幸せになれるのが、「ハッピーアワー」
通常ニューヨークでのハッピーアワーは、ウィークデイの夕方5時から7時位が多いです。
以前は自分の演奏開始時間が、ハッピーアワーの時間に思いっきり被って行けなかったのですが、パンデミック後、演奏先の状況(時間や曜日など)が少し変わったので、ウイークデイの早い時間に飲みに行ける日もでてきました!
なので、今回から数回に渡って、ニューヨークのノスタルジーあふれるアメリカンバーを、いくつか紹介しつつ、支払い方など、バーの利用方法なんかもお伝えしたいと思います。
いろいろと知り合いなどにも聞いて、アッパーウェストサイドや、グリニッジ・ビレッジの評判の良い店をピックアップ。まず行ってみたのが、
“The Gin Mill”
ジン・ミルとはスラングで、バーのことだそう。
看板には、開店から夕方7時までは、生ビールが一杯5ドルと書いてます。その他のドリンクも、この時間帯は2ドル引きらしい。通常の生ビールは8-10ドルぐらいだから、結構お得です。
開店から夕方7時までとありますが、なんとこのバーの開店はお昼の12時だそうなので、7時間ハッピーアワー!!
あら、ネットで調べたら、もっとお得な情報が。月曜から木曜のハッピーアワーは、すべての飲み物が半額と書いてある。えええっ、20年物のマッカランとかも半額なのだろうか。ぜひいちど試してみなくては。
The Gin Millサイト
https://www.theginmillnyc.com/
<立ったまま注文!>
ではここで、バーでのエントリーから支払い方法なんかをお伝えしたいと思います。
クールにニューヨークのバーで飲みたいけれど、どうやって支払うとカッコいいのかなぁ、という疑問なんかを持たれた方のために!
まず、バーに入ったらキョロキョロせず、まっすぐに、空いてる席を目指して進み、その側に立ったままバーテンダーにドリンクを注文!!もちろん座ってもよし(笑)しかし、こちらのバーでは、立って飲んでる人、歩き回りながら飲んでる人が多いですね。ある種の社交場なのでしょう。
見ていると、単身で来る人が結構多いです。思い思いに、読みかけの本を持っていたり、お散歩途中なのでしょう、犬を連れていたり、夢中になってヘッドフォンで音楽を聴きながら踊っていたり、奥のプールテーブル(玉突き)に行ったり、顔なじみを探したり、老若男女それぞれが至福のひとときを求めて、こういうバーへ来るようです。
普段アメリカ人は、軽い、スモールトークが好きです。知らない人でも、すぐに名前(ジョンとかテッドとか、ファーストネームやニックネーム)を名乗り合い、知り合いになっちゃうんです。
そしてまたそのバーに来たときに会えば、もうその時には顔見知り。
そんな感じなので、初対面のバーテンダーだったとしても、自分の飲み物をオーダーする時に、今日は気持ちの良い天気だね、などの時候の挨拶や、今日の気分はどうだい? とか話したりします。
自分の名前を告げ、バーテンダーの名前を聞き出したりできれば、あなたは上級者です(笑)
ところが、これが日本人にはなかなかできない。特に、後に待っている人などいれば、とにかく欲しいものだけ言ってお金を払って、早く次の人に順番を譲ろうと思ってしまう。
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以前日本で買い物の際、カバンからなかなか財布が出せずにもたついていた時に、後ろのおじいさんに、さっさとしろよこのやろう!と、怒鳴られたことがあります。あれは、怖かった。トラウマになりました。(笑)
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支払いは現金?伝票?
さてお話戻して、バーカウンター。まずドリンクをオーダーすると、バーテンダーは、
”Cash or tab?”
(支払いは現金か、それとも伝票どっちがいい?)
と尋ねてきます。
Tabタブとはスラングで、伝票のこと。
通常、さっと1-2杯飲みたい人は一杯ずつ現金でその場で払いますし、しっかり腰を落ち着けて何杯か飲みたい人は、伝票で最後にまとめて合計額を払います。(これは現金でもカードでも可)。
いずれの場合も最後にレジに行って支払うというような方法は取らず、飲んだその場で払います。
”タブで”と伝えると
” Can I hold your credit card?“
(お客さんのクレジットカードを預からせて)
と言われ、そこで飲んでいる間、自分のカードを預けるのです。なぜそんなことをするのか最初は不思議でしたが、たまに、たくさん飲んでそのまま支払わずに帰ってしまうお客さんもいるからなのだそうです(笑)保証のようなものですね。
1-2杯しか飲まないつもりの場合は、まず一杯頼んで、20ドル札で払います。ビール1杯8ドルだとして、チップ1ドルで、9ドル払いたい場合、1ドル札を一枚ずつ数えて9枚出すよりは、20ドル札一枚で払う方がかっこ良いように見えます(笑)
チップは1ドリンク1-2ドルくらい。
20ドル札で払うと、お釣りが目の前にポンと置かれます。そこから1ドルだけチップとしてカウンターに置いておく、ということもできますが、そこはあえてお釣りのお札の山を置いたまま飲み続けるのです☆
アメリカでは、いまだに1ドル札が山のようにあると良い気分になります。日本円で言うと100円硬貨なのですが。
そして、そのまま飲み続けていると、バーテンダーさんが優しいことに気がつきます。バーテンダーの彼または彼女が、その山のようなお札を全てチップとして置いていってくれるかも、と思ってもバチは当たらないでしょうから(笑)
最後に、それをそっくりあなたがポケットに入れて持って帰っても良いのですが、まあ普通はチップ分は置いて帰ります(笑)
バーテンダーと仲良くなれば、いつの間にか、頼んでいないワインのスプラッシュ(グラスワインをオーダーしたときに、3杯目ぐらいになると、バーテンダーが何気に半分ぐらい注ぎ足してくれたりするのです)が注がれてたり、キッチンから、ちょっとしたおつまみが、
”On the house! “
(お店のおごりだよ)
と言って届いたり☆
その辺り、行きつけのバーを作るのが楽しいアメリカです☆
そうそう、注文の言い方で、2人以上で飲んでいて、全員同じものをおかわり、と言うときには、
”Another round “
と言ったりします。
なので、待ち合わせに1人だけ遅れてきた人が、「ごめんごめん!みんなは何飲んでるの、もうみんな2杯目なのね、じゃあネクストラウンドは私のおごりにさせて」
“Let me buy your next round !”
とか使います。
ではまた次回、初夏のニューヨーク、アメリカン・バーめぐりは続きます。
お楽しみに〜。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。