最近,なぜか昔の洋楽ばかりが頭の中で再生されているCozyです。
2005年,カナダにあるロンドンという街に仕事で滞在していたときのこと。
(「え,カナダにもロンドンってあるの?」
そう思った方もいらっしゃるかもしれませんが,あるのです。)
宿泊先のホテルに着くと,駐車場にでっかいツアートラックが数台!
それはなんと,アメリカのヘヴィメタルバンド,Mötley Crüe(モトリー・クルー)
ではありませんか!
高校生の頃,大ファンだった私は大興奮。
「会えるかも!?」
とワクワクドキドキしていたのですが,会ったのは,まったくの想定外の大物だったのです。
―まさかの人物―
翌朝,仕事へ行く前にホテルの玄関にいると何やら物々しい雰囲気が。
セキュリティガードを始め,十数人の人たちがすごいオーラを放ちながらこちらへ向かって来るではありませんか。
「え,まさか!私の(←違う)Mötley Crüe?」
と,仕事へ行かなきゃいけないのに,私の心はもう仕事そっちのけ。
そんな私,よほど嬉しそうだったのでしょうか。
ある一人の年配の男性がニコニコと近づいてきたのです。
もちろんセキュリティガードたちも一緒に。
そして
“Hi, good morning! How are you doing?”
(やあ,おはよう。調子はどう?)
と,握手をしようと手を差し出しながら,笑顔で近づいて来たのは,
な,なんと!
当時のカナダの首相,Paul Martin氏(第27第カナダ首相,自由党党首)だったのです。
“Where‘s your home?”
(家はどちら?)
“Oh, you’re from Japan!”
(へぇ,日本から来たんですね!)
など,ちょっとしたお話をしたのですが,その間もセキュリティガードはズラリ。
Mötley Crüeじゃなかったけど,別の意味で緊張しました。
さて,この首相(当時)が言った “home”。
もちろん「家」ですよね。
でも “house”だって家です。
この2つの違いについて,今回は考えてみたいとー…思いますっ! (YouTuber風)
― “home”と “house” の違い―
この2つについては,英語学習の初期に出てくるので知らない人はいないと思います。
あなたは他人から,
「【家】って英語で何て言うの?」
と訊かれたら, “home”と “house”のどちらを答えますか?
「どっちも同じじゃないの?」
と思う人もいるかも知れませんが,実ははっきりとその違いがあるのです。
次の例文を読んで,そのニュアンスを想像してみましょう。
“home”
“I’m home!”(家に帰ったよ!=ただいま!)
“Let’s go home!”(家へ帰ろう!)
“I came home late last night.”(昨夜は家へ帰って来るのが遅かった。)
“house”
“I bought a house last year.”(私は去年,家を買った。)
“My house is old.”(私の家は古い。)
“Nobody lives in that house.”(あの家には誰も住んでいない。)
“home”は,なんとなくですが,安心感と言うのでしょうか,
ほっこりとしたようなイメージがありませんか?
対して, “house”は,「家」という「建物」自体を指している感じ。
それを感じた方は,大正解。
“home”は,「自分が住んでいる家や場所」を指し,
“house”は,「建物としての家」というニュアンスで,「外部から物理的に遮られた囲い」という意感じのです。
なので,
A: Where’s Sally?(サリーはどこにいるの?)
と訊かれて
B: She’s at home.
と答えた場合は,「彼女は(自分の)家にいるよ。」となり,
B: She’s in the house.
は,「彼女はその家(建物)の中にいるよ。」のような意味合いになるのです。
この場合の「家」は,彼女の家なのか,それとも建物の家なのかわかりませんが,
とにかく「家」という建物にいるよ,という感じですね。
― “home”は自分の場所―
“home”は「自分の住んでいる家,場所」を表すと考えると,確かに「なるほど!」と思う言葉があります。
“home” “away”(ホーム)(アウェイ)
スポーツなど,チームが本拠地とする場所を「ホーム」,そして対戦相手の場所を「アウェイ」と言いますよね。
“homesick”(ホームシック)
“I already feel homesick…”(もうホームシックだよ…。)
“hometown”(故郷・出身地)
“I miss my hometown.”(故郷の町が恋しい。)
この3つの例を見ると, “home”ってやっぱり「自分の場所」って感じがしませんか。
家族がいたり,自分が生まれた場所だったり,また,生まれは違ってもそこで成長した場所であったり。
それが “home”の基本的なイメージなんですね。
さて,冒頭でお話したロック・バンド,Mötley Crüeの名曲にこのような歌があります。
“Home Sweet Home”
なかなかやんちゃな彼らなのですが,この曲は心に沁みるほどの名曲。
この “Home sweet home”ってどういう意味でしょうか。
“home”は,「自分の居場所,家」
“sweet home”は「甘い家」ではありません(笑)
“sweet”には,「やさしい,心地よい,大切な,親切な」などの意味もあり,
“sweet home”は,「大切な,心地よい我が家」のような感じでしょうか。
でも使う場合は,このようなシチュエーションです。
楽しい旅行から帰ってきて玄関を開けて,
“Home sweet home!”
(我が家がい一番!)
のような感じ。
みなさんも,旅行は楽しかったにもかかわらず,家に着くと
「やっぱり家が一番落ち着く〜!」
って言ったことや感じたこと,ありませんか?
“Home sweet home.”もそんなニュアンスです。
残念ながらMötley Crüeには会えませんでしたが,
思いもよらない人物に会えて,ビックリなカナダ出張でした。
長いカナダ出張を終え,東京の我が家に帰ってきたときは,
やっぱり
“Home sweet home!”
だったのでした。
言ってないけど。
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。