こんにちはNYのKayoです。
ニューヨークに暮らしていると、時々こんなことを考えます。お寿司も天ぷらも、今やすっかり市民権を得ているのに、日本の食パンだけは、なぜか広まらない。
※冒頭の写真は韓国人が経営するお店で買った食パンです。
でもこれは、日本の食パンが凄く特別、って言う訳ではなく、アメリカ側に「パンがそうなる理由がなかった」のだと思うようになりました。
でもたまには食パンのトーストも食べたい!!
さて、なぜ日本の食パン🍞が、アメリカには、なかなか売ってないのか。
私の考察は(笑)。
パンが「主食」の日本
まず、日本では、パンは完全に「主食」なんですよね。ご飯と同じ扱いで、食卓に乗っています。何もつけずとも良いし、トーストしてバター。ああ、美味しい。
それにコーヒーで、一食になってしまう。
フルーツの安売りをしてた時に作ったジャムを載せてもいいし、チーズとケチャップをのせて焼いてもいいし。
で、耳が柔らかいかどうかもけっこう重要で、香りや口当たりを静かに味わう。ううむ、これは、実はアメリカ人には理解しにくい、日本人固有の、
「パンとは、米の延長線上にある。だって、おんなじ炭水化物で主食なんだもん」
って言う考え方です。
アメリカでは、パンは脇役?
一方アメリカでは、主食と言えば、食事の中心にあるのは肉や魚、そしてそれがスープであっても、つまりタンパク質。
パンはそれを支える脇役で、挟み、受け止め、浸すための役割。
だからパンに求められるのは、ふわふわ感ではなく、壊れないこと、負けないこと(笑)。しっかりと具を引き立ててこそ、良いパンなのです。
アメリカのパンの歴史
ここには、アメリカの成り立ちも大きく関係していそう。もちろんここニューヨークには、世界中の人々が持ち込んだ、世界中のいろんなパンがあります。
しかし、開拓時代、資本主義、大量生産。食べ物は楽しむものというより、いわゆる、働くための燃料とも言える。
いつでも、どこでも、同じものが食べられることが必要で、パンもまた、感動より安定が求められた存在だったのではないか。
噛みごたえが大切なアメリカ
さらに、噛みごたえへの感覚の違いも見逃せません。欧米では、硬い肉を噛みちぎり、しっかり噛むことで「食べた」と感じる文化が育ちました。
1960年代に人気だったアメリカのテレビアニメ「フリント・ストーン」を覚えておられる方もあるでしょうか?
原始時代の家族を描いたもので、主人公の彼がいつも手に持っているのは、骨付きの大きな肉の塊。狩猟民族の彼らは顎も強く、噛む行為そのものが食生活の満足につながる。
だから、ふわふわした食べ物はどこか頼りなく、物足りないのではないかな。
ふわふわ大好き、日本人
日本はその逆です。
米を炊き、粥にし、煮て、蒸して、柔らかく仕上げる。噛み砕くより、舌で感じ、喉で味わう。
日本では、柔らかい=丁寧であり、優しく、上等、という価値観がある。
高級和食ほど、実は歯をほとんど使わない。煮含める、蒸す、すり流す。ここに日本の美学がある!
硬いステーキよりハンバーグ、骨付き肉よりつくね。
日本では、柔らかいことは、シェフが手間をかけた証であり、上等さでもあるように思えます。
その感覚が、パンにもそのまま表れた。だから日本では、バゲットよりも食パンが主役になった。柔らかく、優しく、繊細で、毎日食べて美味しいもの。米の代わりになる食パンを、日本人は大好きなのだと思います。
まとめ
そう考えると、日本の食パンとアメリカのパンは、役割に違いがある。
どちらも、その土地の歴史と暮らしに、きちんと合っている。ふわふわの食パンが日本で愛され、しっかりしたパンがアメリカで残ったのは、とても自然な流れだったのですねぇ。
パン一枚にも、顎と胃袋と歴史が詰まっている。
(実は宗教も、だと私は思うのですが、それは以前書きましたので、今回は割愛。) 食べ物に美味しいものを求めてはいけない、それは快楽に繋がるから。
キリスト教では、至上主義は認められない。プロテスタント。
アメリカの食べ物がまずいのか、プロテスタントの考え方。
そう思うと、朝のトーストが、少し奥深く感じられる気がします。
それではまた次回♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。






