2022年の年明けから、ニューヨーク市では新しい市長エリック・アダムズが登場しました。あ、本物のアダムズファミリーだ。(笑)
アメリカ合衆国全体のニュースとしては、最高裁の裁判官の1人がリタイヤすると表明したため、その後釜の裁判官が共和党になるのか民主党になるのか、この国の将来に大きく関わることなので、大揺れに揺れています。
そんなアメリカのニューヨークから、今回はいろいろな近況をお届けします。
2020年3月からパンデミックで、厳しいロックダウンが1年以上続いたニューヨーク。昨年夏には平常に戻そうとしたものの、2022年が明けても、今まだオミクロン株の感染率が増え続けていると言う状況。オミクロン株は、そうそう人間を死に至らしめるほど強くは無いものの感染力は高いと言うことで、あちこちでまた規制が厳しくなっています。
エンターテイメント
NYの経済と言えば観光、そして観光客へ向けてのいろいろなパフォーマンスが有名ですが、現在1月の半ばで、メトロポリタンオペラや、バレエ、ブロードウェイのミュージカルなど、あちこちで公演延期や、中止のニュースが流れています。
マスクや家庭用テストキット
ニューヨーク州でのマスクの必要性は、「本年3月半ばまで必ず着用」という告知がありました。今回はなかなか厳しく、一般には医療用として知られるN95というマスクが、強く推奨されています。
このN95は、病院でドクターたち医療従事者が日常的に使う不織布のものだそうです。使い捨てで、1枚2ドル(約220円)以上するようなものです。が、コロナを防ぐ為とあれば奮発せざるをえません。
20枚で50ドル(約5500円)ほどで販売されていて、郵送にて購入すると、9.9ドル(約1080円)増し。もちろん強制ではありませんが、周りでは多くの人々が購入しているとの事、使い捨てのマスクをこんなに高額で購入することになるとは、想像もしませんでした。
また政府から、コロナの家庭用テストキットの無料配布が始まりました。各家庭に4セット、ネットや電話を通して申し込めば、無料で送付されるそうです。テストしてもし陽性であれば5日間仕事を休み自宅療養し、その終了前にもう一度テストをして、もしまだ陽性であればあと5日自宅療養しろ、ということのようです。
レストランやバー
今のところ、新しい規制はありません。この寒さですので、屋外での臨時テーブルでの飲食はなかなか厳しいものがありますが、それでもお客様は店内での飲食より、店外を好むようです。
お店によって、頭上にヒーターを取り付けたり、足元に置いたりと創意工夫に余念がありません。
大概のレストランではコロナ禍と同じように、各テーブル間にはゆったりとしたスペースをとってあり、それでも店内で飲食のお客様は少ないようです。
物価上昇
最近日本のメディアでも取り上げられているようですが、アメリカではスーパーマーケットで商品が揃わなかったり、ガソリンの値段が1.5倍近くになったりと、物価の値上がり(インフレーション)がすごいです。
例えば、こちらで最近人気の日本のラーメンですが、大概のラーメン屋さんでは、ラーメンが一杯20ドル(約2200円)くらい、2人で普通の生ビール9ドル(約990円)飲みながらラーメンと、唐揚げ13ドルを一人前取って半分ずつするだけで、税(約10%)とチップ(総額の約20%)を合わせると、94ドルぐらい(日本円で約1万円越え)になってしまいます。
地下鉄から車へ
コロナ禍の始まりから丸2年が経とうとしているわけですが、ニューヨーカーのライフスタイルが大きく変わったと言う事は避けて通れません。
1番大きく変わったのは、リモートワークがほぼほぼ普通になったので、地下鉄に乗る人間がずいぶん減ったようです。その弊害として、地下鉄にホームレスが増えたり、そのホームレスの突き落とし事件が急増したりして、ホームレスで心の病がある人が増えたりしています。
そして、そんな地下鉄になるべくなら乗りたくないと言うことで、今度は、中古車を購入する人が増えて、中古車の値段がぐんと上がったようです。
ワクチン反対からの人手不足
ニューヨーク州では、ワクチンの接種を2回終えていないと、公務員や医療関係を始め、あらゆる仕事につけないことになったため、物流などあらゆる職場で、人手不足で困窮しているようです。ある病院では、ワンフロアを閉めて、対応しているそうです。
ここはアメリカでは、日本の方には想像もつかないような考え方をする人々が、大勢います。
WHOやCDCなど、アメリカを代表する新型コロナ対策のための医療の専門家たちのグループからワクチンはするべき、と言う発表があっても、嫌だ、絶対嫌だ、と理由はどうあれ絶対に反対し続けるのです。もちろん彼らなりの理由は、多々あります。健康上の理由であったり、宗教上の理由であったりします。
とにかく、「私の信じている神が、私の、神からもらった身体に絶対に異物を注入したりしてはいけないと言われた」、と言うようなことを真剣に書類にしたりして職場に提出、それが認められないと言って法廷に持ち込んだりします。
そのような考え方の人たちが結構大勢いて、そういう人たちが仕事を持てないので、ここかしこあらゆるところで人手不足が起こるわけです。そしてその人手不足が、物価の値上げにもひと役買っているように見えます。
ただ、アメリカ合衆国は広く、共和党が収める州では、ワクチン接種もマスク着用も厳しくないところもあるようです。そんなこともあり、このコロナ禍を契機に、転居、転職したり、早期リタイヤを考えた人たちもずいぶんいるようです。
全てデリバリーで
以上お伝えした状況の中、私個人の近況としては、この2年間のパンデミックでライフスタイルが変わったことなのですが、とにかく仕事以外は外に出ず、他人との接触を避けて引きこもっていますから、あらゆる買い物をデリバリーでまかなっています。
電池1つから、衣料品、食品、アルコールから、たまには食事まで、すべてネットで注文できるアプリが、私の携帯にはしっかり入っていて、ストレスなく何でも手に入ります。
最近、配達料無料で、ミニマムなしで配達してくれるサービスなんかも出てきたので、ますます出なくてすみそうです。詳しくは、また利用してみて、別の機会にでもご紹介しますね。
外に出ないので、運動不足という点は気になりますが、ニューヨークの冬は寒く、今日も現在午前10時で外はマイナス7度。散歩などするのに適温ではないので、家で太極拳や、YouTubeでエクササイズやストレッチをしています。
また、自宅にいる時間が長いので、ストレス少なく生活できるように、少しずつ部屋を改造したりしています。台所の食器の配置を変えたり、シンクの上に蛍光灯を取り付けたり、洗面所や、デスク周りなど、色々工夫しています。
ソファーに大好きなマリメッコのカバーをかけただけで、部屋が見違えるように楽しくなりました。
ニューヨークは今日も雪、この先1週間は毎日氷点下が続く寒い日々だそうですが、寒い日が来れば、次はポカポカ暖かな春が来るのを待つばかり。冬は雪だから白いイメージ、春と言えばやはり菜の花なのかしら、私にはレモンイエローの印象です。
皆さまも来週までどうぞ暖かくして、お過ごしくださいませ。
ではまた来週
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。