“speak”(話す)
“sing”(歌う)
“teach”(教える)
“help”(助ける)
“work”(働く)
これらの動詞の後ろに,
“er”をつけ,
“speak”(話す)→ “speaker”
“sing”(歌う)→ “singer”
“teach”(教える)→ “teacher”
“help”(助ける)→ “helper”
“work”(働く)→ “worker”
とすると,
「『〜する人』を表す名詞となる」
と,中学の頃に教わったことはありませんか?
(単語によっては “or”だったり,最後の子音を重ねる等ありますが)
私もこのように記事を書く(write)仕事をしておりますので
“writer”(執筆者・ライター)となります。
でも,そうではない場合もあるのです。
その単語は日本人にとっても馴染み深い単語。
さて,それは何でしょうか?
―それはチョット・・・―
それは,芸能人のゲストの方々が料理をする,という番組なのですが,
ちょっとおもしろいのが,料理人であるシェフが別の部屋からリモートで指示を出し,
その指示に従ってゲストの方が料理を作るというもの。
「なるほど〜,コロナ禍ならではのアイデアだな」と関心。
でも,次回の番宣でのナレーションを聞いて
「!?」
と,思ったのです。
それは,
「次週のクッカー “cooker”はこちらの方です。」というナレーション。
思わず,
「チョット,チョットチョット!!」
と,ワタクシ,幽体離脱しそうになったのです。
たしかに “cook”は動詞で「料理する」という意味。
だから「料理する人」であれば,冒頭でお話ししたように語尾に “er”をつけて
“cooker”と考えたのかもしれません。
Oxford dictionaries によると “cooker”とは,
“an appliance used for cooking food.(食品を調理するための器具)”
と説明されています。
また他の辞書でも,
「調理をするための道具である」とされており,
“He is a good cooker.”のように,通常,人に対して使うことはない,とされています。
ですので“cooker”という単語は,
“rice cooker”(炊飯器)
“pressure cooker”(圧力鍋)
のように使い,イギリスではガスレンジのことも “cooker” と呼ぶそうです。
では,「料理人」はどういうのか?
それは,みなさまご存知のように
“cook”です。
発音は, /kuk/(クック)。
(英語で話すときに「コック」とは言わないでくださいね。
別の意味になってしまいますので(^_^;))
動詞も名詞も同じ形で「料理をする人」のことを指しますが,職業としての料理人とは限りません。
料理上手なお父さんのことも,
“My father is a good cook.”ということができます。
ですので,料理の正式な訓練を経て料理人となった場合や,
料理長など役職が上の場合は, “chef”(シェフ)といい,
料理をする人全体を指す場合の包括的な言葉が “cook”となるのですね。
―語尾につけるのは “er”だけじゃないけど…―
「〜する人」などを表す場合,動詞の語尾に
“er” (直前の子音を重ねて “er”, “y”を “i”に変えて “er”等)をつける,
とお話しましたが,語尾に “or “や“ist”をつける場合もあります。
ほとんどが名詞の後ろに付けるパターンですが,例えば
“actor” (俳優)
“visitor” (訪問者)
“dentist” (歯医者)
“pianist”(ピアニスト)などがあります。
これを深堀りするとまた長くなってしまうので簡単に…,
語尾に “er”をつけるのは,英語由来。
語尾に “or”をつけるのは,ラテン語由来,
語尾に “ist”をつけるのは,ギリシャ語由来の単語なのだそう。
これも「へぇ!」ですよね。
一昔前だと「200へぇ」くらいいただけそうです。
―反対の意味になるって?―
これまでは,「語尾に “er“をつける」という話をしてきましたが,
語尾に “ee”をつけると反対になる単語もあるってご存知ですか?
「反対ってどういうこと?」と思った方,まどろっこしくてすみません。
例えば, “train”という英単語があります。
名詞では「列車」ですが,動詞では「訓練する」という意味になります。
この語尾に,“er”をつけると
“trainer”(トレーナー)
となり,「訓練する人,指導者」などの意味になります。
ジムのトレーナーというとわかりやすいかもしれませんね。
では今度は “train”の語尾に “ee” をつけて
“trainee”
にしてみると「あら不思議!」
その立場が逆転するんです。
つまり, “trainee” =「訓練生,見習い,練習生」のように
「訓練を受ける人」
になるのです。
“trainer”は,「訓練をする側の人」
“trainee”は,「訓練を受ける側の人」
のように立場が逆転するんですね。
他にも代表的なものとして,
“employ”(雇用する)があります。
“er”をつけて “employer”にすると「雇用する側の人(雇用主)」となり,
“ee” をつけて “employee”にすると「雇用される側の人(従業員)」となります。
もう一つ,馴染みのある語彙で見てみましょう。
“interview”(インタビューする)は,もう日本語と化していますので
ほとんどの人が意味を知っていると思います。
この “interview”の後ろに “er”をつけると
“interviewer”(インタビュアー,面接官)となり,「インタビューをする側の人」になります。
では,語尾に “ee”をつけると・・・
“interviewee”(インタヴューイー)となり,
「インタビューを受ける側の人,面接を受ける人」
となるんですね。
おもしろいと思いませんか?
もちろん,これにあてはまる語彙は限られていますが,
「“employer” と “employee”ってどっちがどっちだっけ?」
と迷った経験のある人にとっては,ちょっと覚えやすくなったのではないでしょうか。
これも覚え方の一つです(笑)
―あ,もしかしてそうだったの?―
さて, “cooker”から始まった今回のお話。
“cooker”は,調理器具を指すんでしたね。
なので,その料理番組で
「次週の “cooker”は,こちらの方!」という表現に違和感を覚えたワタクシ。
でもね,気づいちゃったのです。
これ,もしかしたら「ワザとなのかな?」って。
だって,この番組は
「プロの料理人がリモートで指示して,芸能人に料理を作ってもらう。」
というもの。
ゲストの方が「料理人の代わり」となって動く。
つまり,「ゲストが料理人にとっての調理器具ってことなの」?って。
「なるほど〜!」とすぐに納得。
勝手に納得はしたのですが,すぐに
「それ,超失礼じゃん!?」
と自分の想像にツッコんでしまった私。
だから,「ゲストの方が料理のトレーニングを受ける」ってことで,
「次週の “trainee”(トレーニー)は,こちらの方!」
にした方がよろしいかと思いました(笑)。
それでは,また来週〜♫
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。