「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ〜〜!」
「らっしゃっせー!」
「せー!」
日本では,買い物などでお店などへ行くと「必ず」といっていいほど言われる言葉がある。
それが
「いらっしゃいませ。」
冒頭で書いたように,言い方も様々。
面白いのが,その言い方でなんとな〜くどんなお店かわかるんですよね。
お店に入ると聞こえるその掛け声(なのかな?)は,活気があってとても好きなのだけれど
「いらっしゃいませ」って英語ではどういうのでしょうか。
きっとアナタは,あのフレーズを思ったのではないですか?
ほら, “May I”から始まるあのフレーズですよ(笑)
―日本では定番の “May I help you?”?―
中学の検定教科書などでは,絶対というほど「買い物」のシーンが登場します。
その多くは,ハンバーガー屋さんであったり,洋服店であったり。
そこでは,店員さんとお客さんの一連のやりとりが英語で交わされるのです。
店員:Hello. May I help you?
お客:Can I have one cheeseburger and…
という感じです。
その場合の訳として,
“May I help you?”=「いらっしゃいませ」。」
のように書かれているものが多くあります。
直訳すると,
「お手伝いしてもよろしいですか?」
なのですが,その訳ではピンときません。
だから敢えて,
「いらっしゃいませ。」
としているのだと思います。
が,がですよ!
「いらっしゃいませ」と「お手伝いしてもよろしいですか?」って根本的に意味的状況が違うと思うんですよ。
「お手伝いしてもよろしいですか? (May I help you?)」は,何か客側が手助けを求めていて,それに対して手を差し伸べる,って感じじゃないですか。
例えば,「探しものを手伝う」とか「壁などに展示してあるものを取ってあげる」とか。
それに対して,
「いらっしゃいませ」は,あくまでもお決まりの「あいさつ」的なもので,
「あ,お客さんが入ってきたのね。どうぞどうぞ,ごらんください。」
という感じのいわば放置プレイ的な感じ。
それを
“May I help you?”=「いらっしゃいませ」って覚えてしまったら,どうしましょう!
さあ,ここで久しぶりのCozyの妄想タイムです!
今回は,店員さんの気持ちに注意しながら妄想していきましょう!(笑)
―――はいっ,妄想開始です!―――
あなたは今,ロサンゼルスのショッピングモールにいます。
ウィンドウでステキなTシャツを見つけて,店に入りました。
いろんなTシャツを見ていたところ,店員さんがニコニコしながら
“Hello. May I help you?”
と言ってきました。
でもあなたは
「 “May I help you?”は[いらっしゃいませ]っていう意味だから,まあ特に何も答えなくてもいいでしょ?」
と,何も言わずに軽く会釈をしただけで,あとは連れの人と
「これ,カッコいいね。」
「これもかわいいね。」
とTシャツをいろいろと見ています。
―――妄想終了―――
さあ,その時の店員さん,どんな気持ちだと思いますか?
・
・
・
「お手伝いしてもよろしいですか?(何かお手伝いしましょうか?)」
と,より良いTシャツを見つける手伝いをしようとして声をかけてくれた店員さん。
なのに,軽く小さく会釈をしただけで連れの人と日本語で会話を続けられたら…
あまり気分の良いものではありませんよね?
「あら?どうしちゃったのかしら?」みたいな。
それを知る感覚がとても大事だと思うのです。
だから,
“May I help you?”を,
日本語と同じ決まり文句の「いらっしゃいませ。」と覚えるのはちょっと危険。
“May I help you? / Can I help you?”
と言われて,特に何もない場合は店の種類にもよりますが,
“Well, thank you, but I’m fine.”
(そうですね,ありがとうございます,でも大丈夫です。)
のように答えると良いですよ。
あくまでも, “May I help you?”は,「何か手助けが必要か?」を聞いているということを覚えておきましょうね。
絶対に,知らん顔はしないことです!(笑)
―じゃあ,英語で「いらっしゃいませ」は?―
じゃあ,英語で「いらっしゃいませ」ってどういうの?って思いますよね。
結論から言うと,日本語の「いらっしゃいませ」にあたる言葉はありません。
小売店などのお店では,
“Hi!”
“How are you?”
“Hello.”
“Hi, there.”
などのように,簡単な「こんにちは」に相当するカジュアルな挨拶をされることが多いです。
その場合は,同じように
“Hi!”
“Hello!”
“I’m good, thank you.”
のように笑顔で答えると大丈夫。
これが,日本語の「いらっしゃいませ」のような感じです。
そのまま買い物を続ければ問題ありません。
ただ,その後で
“May I help you?”
“Can I help you?”
のように訊かれたら,
“Well, thank you, but I’m fine.”
(ありがとう,でも大丈夫です。)
“I’m doing fine, thank you.”
(大丈夫です,ありがとう。)
のように答えます。
よく英会話では,
“I’m just looking.”
(見ているだけです。)
という表現が紹介されていますが,これでも問題ありませんが私はあまりオススメしていません。
だって,お店に来る目的が買い物ではなく
「見てるだけ」
は,ちょっと失礼な気もするのです。
たとえ「見てみたい」だけであっても「見てるだけ」はちょっと正直すぎるので,
“Oh, thank you. I’m doing fine now.”
(あ,ありがとうございます。今は大丈夫です。)
のように言った方がいいと思うのですよね。
もしも答え方がわからない場合は,
“Thank you, I’m OK.”
だけでも大丈夫。
「訊ねてくれてありがとう」という気持ちと,
「でもOKよ」
ということを伝えることが大切です。
そうすると,たいていは
「何かあったら言ってね。」のような言葉でその場を離れます。
基本は,店員も客も対等の立場。
お互いが気持ちよくコミュニケーションをとることがとても大切です。
―実際にあった “May I help you?”―
まだ英語の教師をしていた頃。
中学生を12名くらい連れて,一緒にロサンゼルスへ行ったことがあります。
語学研修でしたが,普段は英会話のクラスではない受験英語を中心としたクラスの生徒たちです。
自由時間のときに,ある生徒が
「ジーンズを買いたい」
と言い,みんなでハリウッド通りにあったジーンズ専門店に入りました。
そこではいつも通り,
“Hi, how are you?”と店員さんから挨拶があり,そのまま生徒たちは数名でジーンズを見ていました。
私は近くで様子を伺いながら待っていました。
その時に,店員さんが生徒たちに
“Hi, may I help you?”と言ってきたのです。
生徒たちは,「いらっしゃいませ」という意味だと思っていたので,とくに大きく反応をせずにジーンズを探していたのです。
すると,“May I help you?”と言っているのに反応がないので困っている店員さん。
そこで私が,
「ちゃんと反応しようよ。」と言い,店員さんに英語で話すと,
“Oh, you speak English!”
(ああ,あなたは英語話すのですね。)
“I didn’t know why they were so silent.”
(どうして彼らがだまっているのかわかりませんでした。)
と,大げさではなく本当に胸に手を当てて安堵のため息を漏らしていました。
生徒には,「教科書と実際の英語との違い」「コミュニケーションの大切さ」等を伝えたのはもちろんですが,私自身もあらためて,
英語力も大切。だけど,
「文化習慣の理解を知る必要性,コミュニケーションをとる大切さ」も感じた出来事でした。
日本では,
「いらっしゃいませ!」
と言われてそのままにすることも多いかもしれません。
ですが,「いらっしゃいませ。」と言ってくれた店員さんに対して
たとえ無言でも「笑顔で会釈をする」をしてもいいと思うんですよね。
その方が気持ち良いと思うんです。
さ,明日からはあなたも実践してみませんか?
どこかのお店で「いらっしゃいませ!」と言われたら,
すこ〜しだけ口角を上げて軽く会釈をしてみましょう。
きっと気持ちよくすごせると思いますよ,きっと!
「いらっしゃいませ」に応える笑顔の輪!でございます(笑)
ふふふ。
それではまた来週〜♫
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。