「最初はグー!ジャンケン○○!」
○○に入る言葉は,「ぽん」であったり,「ほい」であったり。
地域によって言い方は様々ですが,日本人なら誰でも知っているフレーズです。
そうです。何かを決める時によくやるジャンケンは,日本ではとてもポピュラー。
「グー,チョキ,パー」のたった3種類の形で,物事の勝敗が決まってしまうなんて,その「説得力」ときたらすごいと思いませんか?
順番や担当等,なかなか話し合いでは決定できない時,ジャンケンでの勝ち負けは絶対的な力を持っています。
どんなに「嫌だ!」と思っても,ジャンケンで負けたらその結果を受け入れるしかないのです。
「マジかよ~・・・」と悔しい思いをした人も多いのではないでしょうか。
さて,そんな日本人にとって馴染みの深い「ジャンケン」。
英語の授業でもよく使っていました。
私がまだ児童英語の世界に身をおいていた頃,よく授業で使っていたのは
“Rock, paper, scissors!”
“Rock(岩)”は「グー」, “paper(紙)”は「パー」,そして “scissors(ハサミ)”は「チョキ」です。
“Rock”を “Stone(石)”と言う場合もあります。
児童英語は「楽しみながら英語を学ぶ」ということがメインになるため,様々なアクティビティをする機会が多くあります。何かの担当を決めたり,ペアワークなどで先行後攻を決めたりする時に使うのがこの “Rock, paper, scissors!”。
当たり前のように授業内で使っている先生方も多いはず。
英語のレッスンでも使用するこの “Rock, paper, scissors!”。
「日本だけのもの」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,実はアメリカなど欧米にもあるんです。
アメリカでは,何かを決めるときには「コイン・トス」というコインを上に投げて裏表で決めるやり方が一般的ではあるのですが,日本と同じ「グー,チョキ,パー」の形のジャンケンもあります。
言い方は,前述したように「グー “Rock”,チョキ “Scissors”,パー “Paper”」を使うのですが,その順番が違います。
“Rock, paper, scissors” というのが一般的。
最後に “shoot”をつけて, “Rock, Paper, Scissors, shoot!”のように言う言い方もあります。
また,“One, two, three, Go!”のように数字を言うパターンもあります。
このように,パターンは違いますが,ジャンケンは海外にもあるんですね。
「あいこ」の場合は,“Rock, paper, scissors, shoot” “Rock, paper, scissors, shoot”のように,ずっと同じフレーズを続けたり, “Again!, Again! Again!”(もう一回,もう一回,もう一回)のように言ったりします。
さらに形も微妙に違うんです。
私たちは「パー」を出す時に手の指を広げますが,欧米では指をくっつけて出します。
ちょうど「あちらに見えますのは・・・」とガイドさんが見せる手のような感じですね。
日本のジャンケンの「けん」は「拳」と書き, 1650年代に中国から九州地方に伝わったものが最初だそう。
まず,数拳という遊び(いっせーのーせっ!で親指を立てて数を当てるゲームのようなもの)が中国から九州に伝わります。
そこから「虫拳」や「狐拳」などのような日本独自の3すくみ(3つの手の形が互いに強弱関係にある遊び)へと発展します。
虫拳とは,親指で表した「カエル」が小指で表した「ナメクジ」に勝ち,そのナメクジが人差し指で表した「ヘビ」に勝ち,さらにその「ヘビ」が「カエル」に勝つ,というゲーム。
なんともシュールですよね。
それもそのはず,これは元々は大人の遊びだったのです。
それを子どもたちがもっとわかりやすく改良をしていった結果が,現在のグー,チョキ,パーのジャンケンとなったと言われています。
そして明治に入り,日本は海外との交流が活発化。
少しずつ欧米へも「ジャンケン」が広まって行ったのだそうです。
でも一つ日本とは決定的に違うことがあります。
それは,ジャンケンを行う「人数」。
日本では,3人でも5人でもジャンケンをすることありますよね。
でも,アメリカでは2人だけでするのが一般的。
大勢の場合は,コイン・トスや話し合って決めるのだそうです。
さて,このアメリカでのジャンケン。
先にも書きましたが,”Rock, Paper, Scissors”や,“Stone, Paper, Scissors” と言ったり,“One, Two, Three!”や,最後に “Shoot!” や “Go!”をつけたり。
地域によっては,いろいろなフレーズがあります。
それは日本も同じ。
東京ではほとんどの人が,「ジャンケンポン!」「アイコでしょ!」と言いますが,私の出身地では「ジャンケンホイ!」と言います。
もっとちゃんと言うと,
「じゃんけんもってすっちゃんホイ!」
アイコになると,
「アイコー,アメリカ,ヨーロッパ!」
「ジージージーマのハゲ頭!」
と続きます。
でも同じ県内でも,地域によってはまたちょっと違う。
これが県外だと,もっと違う。
いや~,海外の習慣の違いも面白いですが,日本国内も面白いです。
なぜこんなに違うのでしょうね。
「日本は小さい国」と言いますが,方言といい,食文化といい,ジャンケンの言い方といい,地域によってこんなに違う国もまた珍しいのかもしれません
それって本当はすごいこと!
今度はそのあたりについても書いてみたいと思います。
さて,この世界に広がったジャンケン。
だんだんと大人になるにつれ,あまりジャンケンをする機会はなくなってきます。
でも,たまにはジャンケンをして童心にかえってみるのもいいかもしれませんよ。
ほら,そばにいる人にいきなり,
「最初はグー!ジャンケン…」ってやってみてください。
おそらく,90%の確率で条件反射的にやってくれると思いますよ。
それはもう日本人としてのDNA・・・なのかも(笑)
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。