昔,テレビ番組などでこんな企画ありましたよね。
街中にいる人に英語で話しかけて英語力を試すってもの。
最近も動画サイトで同じようなものを見かけて,
「あ〜,ついやってしまいがちだよなぁ。」
と思う表現がありました。
それは,日本語をそのまま英語に訳してしまうが故にそうなってしまうのです。
でも英語ではちょっぴりニュアンスが違う…
ちょっとだけ気をつけると良い表現,
今回も,ちょっとだけご紹介。
「あ,そうだったのか!」
と思うもの,あなたはいくつありますか?
−「英語を話すことができません。」−
動画で流れていた街頭インタビューは,
英語ネイティブが
“What are you gonna (going to) do tonight?”
(あなたは今晩何をしますか?)
と超早口で聞いたことに対して
“I can’t speak English.”
(私は英語を話すことができません。)
と日本人が答えていたもの。
文法的にも何も間違っていません。
でも,本当はニュアンスがちょっとだけ違うのです。
日本の英語教育では,
「〜することができる」= “can” or “be able to ~”
と学習します。
なのでそう答えてしまうのは仕方のないこと。
でも,実際の意味は
「私は英語を話すことができないのです。」という感じ。
もちろん,能力的に「できない」という意味も含まれてはいますが,
同時に,こんな意味としても捉えられるのです。
それは,「なんらかの理由」があって,話すことができない,という感じ。
もしかすると,
英語を話してしまうとパートナーに叱られる,だとか
英語を話そうとすると,突然声が出なくなってしまう,だとか
英語を話すと幽体離脱してしまうとか・・・
とにかく,「英語を話すことはできない,してはいけない」のようなニュアンスにもなるのです。
この場合は,
“I don’t speak English.”
(私は英語を話しません。)
“Sorry, I’m not good at English.”
(私は英語が得意ではありません。)
や,
“I only speak Japanese.”
(私は日本語しか話せません。)
のように答えるとbetter。
もちろん, “I can’t speak English.”と言って通じないわけではありません。
大抵の人は,「ああ,この人は英語を話せないのだな。」と思ってくれると思います。
でも,相手に「日本語は話せますか?」と聞きたい場合
“Can you speak Japanese?”
としがちですが,そうすると
“Yes! KONNICHIWA.”
とだけ言って,「ほら,日本語話せるよ。」という人が本当に多いのです。
だから,「日常的に話す」という感じで
“Do you speak Japanese?”
(あなたは日本語を話しますか?)
と聞いたほうが,無難なのです。
よく外国人に,
“Can you eat natto?”
(あなたは納豆を食べることができますか?)
と聞いている場面がありますが,これも相手からすると
(食べられるか,食べられないかと言われたら,そりゃ食べられるさ。だって,食べ物だから口に入れればいいじゃん。)
と思われるかもしれません。
この場合も,
“Do you eat natto?”
(あなたは納豆を食べますか?)
“Do you like natto?”
(あなたは納豆が好きですか?)
と聞くとGoodです。
それにしても,
“I can’t speak English”って英語で答えたら,
「喋ってるじゃん!」
ってツッコミ入れられそうですね。
−「あなたはどう思う?」−
英語の会議などで意見を求めたり求められたりするときによく使う表現。
あなたなら,英語でどのように言いますか?
“How do you think?”
と思った方,日本語の「どう」をそのまま “How”と訳してますよ。
この正解は,
“What do you think?”
日本語では,「どう思う?」と聞きますが,その本当の意味は
「あなたはこの件に対して,【何】を思う?」
ってことですよね。
ですので,自分が何を思っているのか,どんな意見をもっているのかを答えます。
あなたのその意見の「内容」を聞くわけですから,
“what”
になるのです。
では, “How do you think?”と言ってしまうと,どう思われるのでしょうか。
辞書で “how” を調べると
「どのようにして」
の意味があります。
“How do you go to work?”
(あなたはどのようにして仕事へ行きますか?)
に対しては,
“I go to work by car.”
(私は車で仕事へ行きます。)
“I go to work by subway.”
(私は地下鉄で仕事へ行きます。)
のように手段や方法を答えます。
そう考えると, “How do you think?” の意味が見えて来ませんか?
そうなんです!
“How do you think?”は,
「あなたはどのようにして考えますか?」
ということになるんです。
つまり,「考える手順や手段」とでも言うのでしょうか。
「え,もちろん頭で考えてるんだけど!?」
なんて答えられてしまうかもしれませんよ(笑)
−“where”と “what”−
昔,まだ現役で英語の先生をしていた頃。
ある日,とあるスピーチコンテストを観覧していました。
幼稚園から高校生までが参加するわりと大きなコンテスト。
壇上には野球チームに所属しているという小学生が,司会の方からインタビューを受けていました。
司会の方は,その小学生のポジション(守備)を聞きたかったのでしょう。
“Where’s your position?”
(あなたのポジションはどこ?)
と聞かれたのです。
その言葉にとても違和感を抱いた私。
一緒にコンテストを観覧していたネイティブの友人に,
( “Where’s your position?”って言う? “What’s your position?”だと思うんだけど。)
と小声で聞いてみたところ,やっぱり “Where”ではないよ,と。
これも日本語をそのまま訳すとそうなってしまうのですよね。
「守備はどこ?」ではなく,英語では「守備は何?」が自然なのです。
そうは言われても,ニュアンスや感覚ってわかりにくいですよね。
では,この説明ではどうでしょう?
「日本の首都はどこですか?」と聞かれたとします。
あなたはおそらく「東京です。」と答えますよね?
では,目の前に地図があります。
そこでまた「日本の首都はどこですか?」と聞かれたら・・・
間違いなく「ここです。」と地図の中の東京の位置を指さすでしょう。
日本語では,「どこ」と聞くだけで「首都の名前」「その場所」の2つを表すことができますが,英語では厳密にいうと違うのです。
“What is the capital of Japan?”
(日本の首都は「どこ(何)ですか?)
“Tokyo”(東京)
“What”は「何」という名称を聞かれているので,その名前,つまり「東京」と答えます。
では,
“Where is the capital of Japan?”
(日本の首都は「どこ」ですか?)
はどうでしょうか。
そう,「場所・位置」を答える意味合いが強くなるのです。
ですので,「東の方だよ。」「台湾の上だよ。」と答えられる可能性大なのです。
では最後にクイズです。
No. 1 “What is the capital of Canada?”
No. 2 “Where’s the capital of Canada?
・
・
・
さて,2つ答えられましたか?
No.1 は, “what”で聞かれているので “Ottawa”(オタワ)と答えます。
(バンクーバーとかトロントって答えた人いませんよね???)
No.2 は, “where”で,「場所・位置」を答えるのでアメリカ・ニューヨーク州のすぐ上です。
となるのです。
このように, “what”と “where” は厳密に言うと違うのですね。
なので,スピーチコンテストの司会の方の質問 “Where’s your position?”だと,
「えっとぉ,バッターボックスのすぐ後ろです。」
のような答え方をされる「かも」しれませんよ。(笑)
−もちろん通じる。けど,レベルアップ−
今回紹介した表現は,私たち英語ノンネイティブを相手にしているわけですから
ネイティブのたいていは理解してくれると思います。
でも,例えば旅行でアメリカの片田舎へ言ったとします。
日本人やアジア系はもちろん,観光客などほとんどいない地域も多くあります。
そのような地域の人達は,ノンネイティブに慣れていないことも多々あります。
すると勘違いされてしまう,ということもあるかもしれません。
でも何よりも,あなた自身の英語の知識と力のアップのためにも,この微妙なニュアンスの違いを知っていて欲しいな,と思っています。
私は基本的には「日本人英語でいいじゃん!」と思っています。
多くの場合はコミュニケーションが取れて通じればよい,と思っています。
それでも,少しずつ知識や経験を増やしていって,自分の英語をレベルアップするのって楽しいじゃないですか!?
ですので,これからも「ちょっとした違い」を一緒に学んでいきましょうね!
それでは,See you next week〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。