カーサービスのドライバーさんて、アメリカ人?こんな質問をいただきました。ここはアメリカだから、「そうよ」って答えそうな気がしますが、実はそうじゃないんです。
私は1度も、アメリカ人の運転手さんと出会った事はありません。いや、昔1度ぐらいはあるかな。でもほとんどが、私たちのような移民の人々。アフリカ人、カリブ海の島々からのラティーノ、ロシア人、いろいろです。以前は中国人の運転手さんもいたけれど、最近は中国の方が、アメリカより経済が良いからか、あまり見かけなくなりました。
そんなシチュエーションの中、どんな方がドライバーをされているのか、何人か車中でお話してみました。
ドライバー①オウマーさん
セネガルから来た、Revel というカーサービスのドライバーさん。
住まいはブルックリン。午後2時から深夜までの勤務で、休憩は6pmと、10pmの2回だそう。私が乗車したのは午後11時20分、大音量でセネガルのラジオを聴いていた。眠気覚ましだそう。聴いていたのは、大統領選についての意見交換の番組で、フランス語のラジオ放送でした。
そんなオウマーさん、「金を作るならアメリカだ、そしてニューヨークだ!」と言う意気込みでいっぱいでした。「セネガルで英語をできるだけ学んで、そして、ニューヨークでこのドライバーの仕事をゲットしたんだ!たくさんお金を貯めるんだ!」というお話。大願成就、がんばってほしい☆
ドライバー②アントワンさん
アフリカの象牙海岸(コートジボワール)出身、20代後半の男性。
彼の出身地は、なんと言っても海が素晴らしいのだそう。いちど遊びに来ると良いよ!って教えてくれた。3月 4月が、1番オススメとのこと。家族がいるので、先日バケーションで帰って来た、と懐かしむように語ってくれた。
象牙海岸と言えば、歴史上奴隷売買の根拠地になった港で有名。アフリカ各地で、意味もなくヨーロッパの白人の侵略者たちによって暴力により拉致され、鉄の鎖に繋がれ、何十人もひとかたまりとして、ここから奴隷船に乗せらた。
記録によると1200万人以上の黒人が、このアメリカ新大陸に連れてこられて牛や馬のように売買された。ヨーロッパの奴隷商人たちは、これによって巨万の富を築きあげた。それも、ついこの間、19世紀まで続いていた話。我が日本では、江戸時代辺り、人々が生き生きとした元禄文化などを生み出していた頃、侵略者であるヨーロッパ人の船が、たまたま、たどり着いたアフリカに住む人々を武器と暴力で拉致しては、アメリカ大陸での労働者として売買していた。もし当時この侵略者たちの船が日本に到着していたらと思うと、背筋が寒くなります。
ドライバー③ジャンさん
ロシアからの50代位かな、男性。感じ良く、微笑んではくれるものの、英語が全く通じませんでした・・・。たぶんユダヤ人。ハイウェイを使ってほしい、って伝えたんだけれど、ハイウェイと言う言葉がわからないようでした。どちらにしてもGPSで連れて行ってくれるのだから、家には帰れるはずさ、と思って諦めましたが、結局ちゃんとハイウェイを使って行ってくれました。良かった。
以前は英語ができないとドライバーのお仕事はできませんでしたが、最近は、英語ができなくても、カーサービスのドライバーなどの仕事が務められる、と言う事ですね。また逆に、利用する側も英語が話せなくても利用できると。
今思い返すと、その昔英語がまだよくできない頃、タクシーに乗るのも、緊張したものでした。行く先を紙に書いて見せる手もあったけど、それじゃ、観光客と思われて足元見られたら嫌だし。目的地が近くなってくると、「その辺で右側に止めて欲しい」って、英語でどう言うんだっけ!?とか、考えながら乗ってました。
そして、降りるときには、チップを2割程度足してからキャッシュを渡すんだけれど、ちょうど細かいのがお札で全部あればいいけれど、小さな額のお札がないとき。例えば12ドルとメーターに出ていたら、まぁ2割弱として2ドルをチップで足して、14ドルだから、20ドル札を出して、「お釣りを6ドルくれる?」って英語で言えばいいんだけど、それを言うのもなかなか緊張したものでした。
そんな昔から比べると、支払いも全てアプリ内で出来てしまう便利な世の中になって来ているってことなのですね。
登録してあるクレジット・カードで決済されていますから、サンキュー!と一言言って車から降りればいいだけ。なんて快適なんでしょう!久しぶりに実感した夜でした。
それではまた次回♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。