アメリカの学校では、9月から新しい学年が始まります。ニューヨーク州では、小学校なども、いよいよネット授業ではなく、学校に通えることになるので、子供たちはもうウキウキ。
ペアレンツにとっては、学校に必要な道具を買いに行く事を“スクールショッピング”と呼ぶ、一大出費イベント!が今月終わり頃に控えています。
というのも、お店では、この時期に合わせて、洋服やデイパック(小型のバックパック)、シューズや本、ノートや文房具など、いろんなディスカウント・セールが行われるので、それを見逃さないわけにはいきません!
今回は、そんな学校で使う道具や、習慣や制度等、アメリカの学校について、日本と違いを感じる点を、いくつかお届けします。
<文具は選ぶのがラク>
まずは文房具ですね。ノートにしてもペンにしても、こちらアメリカでは、ほとんどチョイスがありません。使えれば良い、と言う感じですかね。なので揃えるのも簡単です。学校でも、誰のノートがすごく可愛い〜とか、ペンケースがおしゃれだから、あれが欲しい!買って〜!とか、そういう事はあまり聞いたことがありません。
比べて、日本は何を選ぶのも、たくさん種類があって大変です(笑)。2年ほど前に日本に戻った際、東急ハンズに10年ぶり位に行った時、あまりの商品の多さに、目が回りそうになりました(笑)。アメリカでは、なにごとも種類が少ないので、何を選ぶのもラク。
ちなみに、日本の小学校等では、持ち物に、鉛筆一本一本にも、名前を貼ったりしますが、アメリカには、その規則?習慣?はないです。日本で名前をつけるのは、自分のものに愛着を持ち、ものを大切にする心を育てる、という意味合いからのようですが、アメリカでは、文房具等はシェアする文化なので、そういった点でも、ものに対する考え方が違いそうですね。
<ランドセルとバックパック>
日本のランドセルは、本革だったり、色がとても綺麗だったり、この頃はラベンダーや、スカイブルーまであるようですね。値段が高くてびっくりします。由来を聞くと、大正天皇がお持ちになったのが最初で、だんだんと平民がそれにならっていったのだとか。
当時学校へ行けるのは、使用人に荷物を持たせたりする、お金持ちの子供たち。そんな子供たちを、自分の持ち物は自分で持つ、という考えに改めようとするため、子供が背中に背負えるものに統一しようとした、というのは、なかなかのアイディアです。なるほど、だから格調が高いわけですね。
アメリカの小学生は、ランドセルのような決まったものはなく、大抵$10(約1,100円)位のバックパックが多いようです。
<教科書がない!>
公立の小学校は教科書がありません。これも驚きですね。それぞれの先生方が、プリントなどを用意します。本を使うときには、学校から貸し出されるので、家には持って帰れないのだそうです。家で勉強できないなんて・・・、残念ですよね(笑)
<背の順で並ばない>
アメリカの学校では、何か集合して並ぶ際、日本では当たり前のようにある、背の低い順から並ぶ、ということはありません。「身体的なことで順位をつける事」は、良くないことだ、という概念から一切無しです。
学校に限らずですが、挨拶の時に、痩せたね、太ったねなど、身体の造作に関わる事は、まず言いません。それは、タブーとさえ言われています。体格の良い人に対しては、ルック・グッド(look good), ヘルシー(healthy)などを使ったりします。女性だと、褒め言葉で、セクシー(sexy)かな。
また、アメリカでは、あまり女性に対して、「かわいい」ということを、褒め言葉にする事はありません。通常「かわいい」と言うのは、子供だけです。また、赤ちゃんへの褒め言葉に、ゴージャス(gorgeous)、と使うこともあります。
ちなみに、ブスやデブをお笑いのネタにする芸人は、世界でも日本だけだそうです。見た目に関係なく、自分にしっかり自信を持って生きるのが、グローバルのようです。
<学び方もさまざま>
アメリカは、日本のお手本となった位なので、日本と比較的同じような義務教育ではありますが、教育の受け方に、ホームスクーリングというのがあります。両親が望めば、子供は学校に行かなくても教育を受けることができるシステム。
ただ、家庭教師をつけたりする、ということなので、裕福な家の子供たちに多いようです。学校が危険だったりする場合、(地域によっては、生徒が学校に拳銃や麻薬を持ってきたりしているところも中にはあるようなので)自宅で教育を受けられれば、それに越した事は無いのかもしれません。
有名な映画俳優の子供たちなどは、親の映画の撮影場所によって、しばらくいろいろな国へ行ったりするようですが、一緒に家庭教師も伴えば、そこで、アメリカの教育が受けられるわけですね。
また、ギフテッド、と言われる子供たちもあり、特別な才能を持っている、と専門家が判断すれば、特別な、優秀な児童ばかりが集まった学校にも行ったりできるそうです。これには賛否両論があり、天才を育てるためには、ちょっとアンバランスな人間を育ててしまう可能性もあるようで、、、。
また各州や、自治体、宗教、学校の創設者などによっても、それぞれの教育方針があり、日本のように、全国のレベルを揃えるために同じ教科書を使って画一的な教育、というわけでなく、さまざまな学校方針や、先生方の考えがあるようです。
各個人の個性が尊重される国、アメリカ。
今の日本で満足できない、ユニークな才能を持った人たちは、どんどん世界へ飛び出すっていう考えも、選択肢に入れてみてはどうでしょうか!
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。